vol.571 世界の“今”と、私たちの希望。
世界平和度指数ランキングから読み解く平和の未来

column

2025.10.08

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毎日のように飛び込んでくる世界の紛争や不安定な情勢のニュースに、胸を締め付けられることはありませんか? 私たちは、食卓に並べるオーガニック野菜を選ぶように、環境に配慮されたサステナブルな製品を手に取るように、無意識のうちに「より良い世界」を願っています。その願いの根底にあるのは、きっと「平和」への想いでしょう。

では、その「世界の健やかさ」を測る一つの指標があることをご存知でしょうか。それが、経済平和研究所(IEP)が毎年発表している「世界平和度指数(Global Peace Index)」、いわば“地球の健康診断書”です。

2025年の最新版が発表された今、この指数をヒントに、私たちの暮らしと世界の平和のつながり、そして混沌とした世界のなかで私たちが育んでいける希望について、一緒に考えてみませんか?

世界平和度指数(GPI)とは?- 地球の「健やかさ」の測り方

「世界平和度指数(GPI)」と聞くと、少し専門的に聞こえるかもしれません。しかし、その中身は、私たちの暮らしの感覚と深く結びついています。GPIは単に「戦争のない状態」だけを平和と定義しているのではありません。以下の3つの大きな視点から、世界163の国と地域を総合的に評価し、平和の度合いを数値化しています。

・継続中の紛争:国内外の紛争による死者数や、紛争の激しさなど、今まさに起きている争いの状況を測ります。

・社会の安全・安心:国民が感じる犯罪への不安、暴力犯罪の発生率、政治の安定度、人権の尊重度合いなど、私たちが日々暮らす社会の「治安」や「安心感」を評価します。

・軍事化:軍事費が国の経済(GDP)に占める割合や、人口あたりの兵士数、武器の輸出入など、国がどれだけ軍事的な備えに力を入れているかを示します。

これらの指標は、なぜ大切なのでしょうか。それは、平和が単なる理想ではなく、経済的な繁栄や持続可能な社会を築くための「土台」だからです。子どもたちが安心して学校に通い、人々が自由に働き、未来に希望を持てる社会は、平和という土壌があってこそ花開きます。GPIは、その土壌の豊かさを測る、私たちにとって欠かせない指標なのです。

2025年版・世界平和度指数から見える「今」

2025年6月に発表された最新の「世界平和度指数」は、私たちに厳しい現実と、それでも失われない希望の両方を示しています。

世界の平和度は17 年間で13回目の悪化

2025年版GPIでは、世界全体の平和度が6年連続で低下したと報告されています。特にウクライナや中東での紛争、国家間の対立が増加し、平和度スコアが平均で約0.36%悪化しました。
調査対象となった163カ国のうち、平和度が改善したのは75カ国だったのに対し、悪化した国は88カ国にのぼります。

平和な国々の顔ぶれと日本の位置

希望の光もあります。ランキングのトップに目を向けると、17年連続でアイスランドが世界で最も平和な国に選ばれました。その後にアイルランド、オーストリア、ニュージーランド、シンガポールといった国々が続きます。

日本は、2024年は17位でしたが、2025年12位にランクイン。特筆すべきは内訳です。「社会の安全・安心」の分野では、世界第4位という極めて高い評価を受けています。これは、世界的に見ても日本の治安の良さ、社会の安定性が際立っていることを示しています。

平和な国々の共通点

なぜ、これらの国々は高い平和度を維持できるのでしょうか。その共通点として、安定した民主的な政治、所得格差が比較的小さく社会的な公平性が重視されていること、質の高い教育へのアクセス、そして市民の間に根付いた強いコミュニティ意識などが挙げられます。平和とは、偶然の産物ではなく、社会全体で育む文化であり、成熟したシステムの結果なのです。

数字が語る、紛争のコスト

報告書は、平和が損なわれた時の「コスト」も明らかにしています。2024年、暴力によって世界経済が受けた影響は 19.97兆ドルに上ると試算されました。これは世界のGDPの11.6%に相当し、地球に住む私たち一人ひとりにとって、年間約2,455ドルの負担を意味します。

想像してみてください。もし、この莫大な費用が、紛争ではなく、気候変動対策や再生可能エネルギーの開発、すべての子どもたちへの教育、世界中の人々がアクセスできる医療に使われていたとしたら…? 私たちの世界は、どれほど豊かで健やかになっていたでしょうか。この数字は、平和がいかに大きな経済的価値を持つかを雄弁に物語っています。

平和な未来のために、今日からできること

「自分にできることは小さい」と感じるかもしれません。しかし、一人ひとりの行動で世界は変わっていきます。

知ることから始める

まずは、世界で起きていることに関心を持つことがスタートです。信頼できるニュースソースから情報を得たり、平和構築や国際情勢に関する本を読んでみましょう。なぜ紛争が起きるのか、平和な国は何が違うのか。背景を知ることで、物事を多角的に捉える視点が養われます。

賢い「選択」をする

私たちの毎日の買い物は、社会に対する「投票」です。例えば、生産者の生活を守るフェアトレード製品を選ぶこと。あるいは、利益の一部を難民支援や平和構築活動に寄付している企業の製品を選ぶこと。その一つひとつの選択が、世界の誰かの生活を支え、より公正な経済システムを後押しします。

つながりを育む

平和の基本は、異なる背景を持つ人々との相互理解です。地域の国際交流イベントに参加してみる、ボランティア活動を通じて多様な人々と触れ合う、といった経験は、私たちの視野を広げてくれます。また、平和な社会の実現のために活動するNPO/NGOへの寄付も、具体的でパワフルな支援の一つです。

世界の平和と、私たちの心の平和

世界の平和という大きなテーマを前に、自分の存在をあまりに小さく感じてしまうかもしれません。しかし、少し視点を内側に向けてみましょう。世界の平和と、私たち一人ひとりの「心の平和(インナーピース)」は、深くつながっているのではないでしょうか。

私たちが日々感じるストレスや怒り、不安は、いわば「心の中の小さな紛争」です。誰かの心ない一言に傷ついたり、未来への漠然とした不安に駆られたり、SNSで他者と自分を比べて落ち込んだり。こうした感情の波に、ただ翻弄されるのではなく、まずは「今、自分はこう感じているんだな」と静かに受け止めてみること。自分の感情を理解し、優しく受け入れるプロセスは、他者への共感と思いやりの心を育むための、何より大切な第一歩です。

自分を大切にし、心の平穏を保つことができれば、その穏やかさは自然と周囲の人々へも伝わっていきます。自分のなかに平和の種を育てること。それこそが、巡り巡って世界を豊かにしていくのではないでしょうか。遠い国の紛争のニュースを見て心を痛める。その想像力と共感の力こそが、私たちと世界をつなぐ、最も尊いものなのです。

あなたの「平和を願う心」が、世界を少しずつ、しかし確実に健やかにしていきます。その希望を胸に、今日という一日を、そして自分自身を、大切にしながら過ごしてみてはいかがでしょうか?

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