残暑厳しい毎日ですが、皆様はどのようにお過ごしでしょうか。
汗をかくことの多い夏、皆様の汗は『気持ちのいい汗』でしょうか?
運動をしたり、お風呂に入ったときなどに、さらっとしている汗をかくことはいい状態ですが、
ストレスを感じたときに汗をかいていたり、ワキや首回りが常にべたつくなど、不快と感じる汗は、もしかすると身体が発する不調のサインかもしれません。
今回は東洋医学の観点で、汗をみていきましょう。
東洋医学と汗
東洋医学とは
私たちの生活に関わる医学には大きく分けて西洋医学と東洋医学の2種類があります。
西洋医学とは、薬物や手術などで治療を行う、多くの先進国で主流になっている治療法です。体の悪い部分に直接アプローチし、投薬や手術といった方法で原因を取り除いて治療していく医学で、多くの方が医学と聞いて真っ先に思い浮かべる医療はこの西洋医学です。
それに対し、東洋医学は古代中国で生まれた考え方で、約2000年の歴史をもちます。東洋医学では、病気やケガの原因を突き止め、その除去を目的にしています。病気やケガの根本的な原因を探るため、東洋医学では患部だけではなく全身を診てから治療法を判断していくものです。
東洋医学でみる汗の状態
東洋医学では、身体の状態を「気・血・水」のバランスでみていきます。
この「気・血・水」の3要素が体内をうまく巡ることで健康が維持され、これらが不足したり、滞ったり、偏ったりしたときに、不調や病気などが起こると考えられています。
健康的な人や、ある程度汗をかいたほうがいい人には 良い健康法です。
ただ、汗というのは東洋医学では、身体の中の水分が変化したもので、血との関係が深かったり、汗が流れ出るとともに気も消耗すると言われています。
東洋医学のいい汗・悪い汗の状態は
では、東洋医学的にはどのような汗の状態がいい汗で、どのような状態だと「気・血・水」の状態が乱れた悪い汗なのでしょうか。
いい汗は、最初にも触れたように、さらっとした汗でほとんどニオイはありません。体温調整のために、必要な量をかいたら止まります。
デトックスにもなり、かくと気持ちよく感じられます。
逆に悪い汗は、すっきりしない汗のことです。
だらだらと止まらなかったり、動いていないのに汗をかいたり、じとじとべたべたしていたりします。
汗のタイプ別解消法
べたべたする汗をかきやすいタイプ
べたべたした汗をかくのは、体の内側に余分な水分と熱がたまっている状態。
きつい汗の臭いがしたり、黄色い汗染みが服につく、便のニオイが気になる人などはこのタイプの汗をかきやすいです。
このタイプは、ストレスや食べるものが原因になっているケースが多く血の巡りが悪くなりがち。
暴飲暴食や生活習慣の見直し、脂っこい料理や肉類の料理を摂りすぎないことがおすすめです。
そして、食生活では腹八分目を心がけ、薄味で胃腸に負担のかからないものを中心にしましょう。
また、豆類や穀物類は余分な水分と熱を出してくれます。また魚料理は血液をサラサラにしてくれるのでべたべた汗のケアにおススメ。
じとじとした汗やだらだら汗をかきやすいタイプ
このタイプは、エネルギー不足の「気虚」の状態。食べ物から取り入れた栄養は、エネルギー源に変えて体の隅々にまで運ばれると考えられています。それが、内臓の元気がなくなるとカラダはエネルギー不足の状態になります。
エネルギー不足はカラダの内側と同時に表面にも見られるようになり、汗が漏れ出やすい状態になっているのです。
このタイプの人は、胃腸の働きが低下していることがありますので、冷たい飲み物や食べ物、身体を冷やす生野菜や果物を控えましょう。
逆に、胃腸を元気にする消化にいいものがおすすめ。
また、にんじん、じゃがいも、さつまいも、栗、レンコン、クコの実など自然な甘みのある食材の他、身体を温めてくれるシナモン、胡椒、クローブ、ニラ、ニンニク、ねぎ、生姜など適度にスパイスを取り入れるのがオススメです。
手のひらや足の裏などのパーツや暑くないのに汗が止まらないタイプ
このタイプの汗をかく人は「気」の巡りが悪くなっているかもしれません。このタイプの人に多いのが、悩み事をかかえていたり、日常的に頭脳労働をしている人など、自律神経が乱れて いる方。
心がお疲れで、そこから自律神経が乱れ、体にも疲労がたまりやすく汗の調整がしにくくなっている状態なのです。
このタイプの人は、血が滞ると気の巡りも悪くなるので、脂っぽいものや味の濃いものなどは避けましょう。
逆に、ウナギや脂肪が少ない赤身のお肉や卵など「気」を充実させる食べ物がおススメ。
また、それを全身に巡らせるシソやシナモン、ショウガなども併せて摂るようにしましょう。
どの状態を改善するにもポイントは「気」
いずれの状態も、「気・血・水」 のバランスが重要ですが、気は血や水を巡らす原動力にもなります。そのため、気の乱れは汗の異常となってあらわれ、汗のかき過ぎは、体液と気の消耗につながります。
ですから、気を整えることが大切。
気を整え巡らすには、旬のものや新鮮なものを食べることや 質の良い睡眠などを心がけることが大切。そうすることで気が増え、流れて身体を気が巡るようになります。
全く汗をかかないのは冷えている証拠
これまで、汗をかきすぎるタイプの話をしてきましたが、
普段汗をまったくかかない人は、冷えが進行している可能性が高いです。
自分で体温を閉じ込めていないと生きていけない状態。そうすると血液もドロドロとして、からだの巡りも悪くなってしまいます。また、いつも汗をかかない状態だと、匂いもきつくなってしまう傾向にあるようです。
運動や入浴、サウナなど、自分が気持ちいい と思う方法で、少しずつ汗をかく習慣を身につけていきましょう。
東洋医学の考え方では、汗のコントロールが低下することでカラダ全体の不調につながるとされています。
逆に、いい汗は健康な証拠。汗は心と体の元気のバロメーターです。
心をときめかせたり、楽しんだりすることも「気」を巡らせることにつながります。
ぜひ、「気」を巡らせていい汗をかける状態を維持していきましょう。
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