最近、あまり聞き慣れない「リジェネラティブ農業」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
環境問題の改善につながると考えられ、近年世界中で注目を浴びている新たな農法です。
「サステナビリティ」や「SDGs」にも関わりがあると、アメリカやヨーロッパを中心に取り入れられています。
どのような農法なのか、これまでの農法と何が違うのか、見ていきましょう。
リジェネラティブ農業とは
リジェネラティブ農業は、地球環境との調和を重視した持続可能な農業手法で「再生農業」「再生型農業」と和訳されます。
従来の農業とは異なり、単に収穫物を生産するだけでなく、地球環境への負荷を軽減し、土壌や生物多様性を保護・促進することに重点を置いています。
育てる作物ごとに土地を仕切り、機械で耕して農薬・化学肥料を用いる近現代の農法に代わり、できるだけ土を耕さない「不耕起農法」と自然由来の堆肥などを利用する「有機農法」は、このリジェネラティブ農業の中に含まれています。
リジェネラティブ農業の特徴
リジェネラティブ農業の特徴は主に4つあります。
① 土壌の健康回復: 化学肥料や農薬の使用を最小限に抑え、代わりに自然循環を活用します。
② 多様性と生物学的な豊かさ: リジェネラティブ農業では、モノカルチャー(単一作物栽培)ではなく、多様な作物や植物の組み合わせを栽培します。これによって生態系が豊かになり、生物の連鎖や相互作用を支えることができます。
③ 炭素貯留と気候変動対策:リジェネラティブ農業は、植物の光合成によってCO2 を吸収し、土壌に炭素を貯留する効果も持ちます。また、土壌の保水性が高まることで、水循環を改善し、気候変動への対策にもなります。炭素貯留と温室効果ガス排出の削減によって、気候変動の緩和に寄与します。
④ 農業経済と地域社会への貢献:リジェネラティブ農業は、農業経済と地域社会にもポジティブな影響を与えます。持続可能な農業の実践によって、農産物の品質が向上し、高付加価値の農産物を生み出すことが可能です。また、地域の雇用創出や地域間の交流など、地域社会の活性化にも寄与します。
リジェネラティブ農業が注目される理由
これらの技術を使って土壌が改善されると、その健康的な土壌では多くのCO2 を吸収・隔離することができるようになります。つまり、今世界で問題になっている、大気中のCO2 を減少させることができます。
また、従来型の慣行農業では、窒素肥料を使用することによって土壌の有機物を破壊します。窒素は土壌表面の流出水や地下水と一緒に移動して、川や海に流れ出します。その結果、藻類の大量発生や海の生態系が崩れていきます。
これに対し、リジェネラティブ農業では化学肥料を使用しないため、そうした環境汚染を発生させないという利点があります。
このように、リジェネラティブ農業は、従来の農業手法と比べて環境への負荷を減らし、生態系を保護しながら食料生産を行う手法なのです。
世界におけるリジェネラティブ農業への取り組み
世界的に見ると、リジェネラティブ農業を促進するためのさまざまな具体的取り組みが進められています。
有名なのが、アウトドアブランド大手のパタゴニア。
地球温暖化などの気候変動や食糧不足などの世界規模の課題を解決する方法として、リジェネラティブ農業が中心的な役割になると考えて、2020年に独自のリジェネラティブ・オーガニック認証制度を制定しました。
製品に使うコットンをオーガニックコットンにするため、リジェネラティブ・オーガニック農業に取り組むコットン農家さんを支援し、現在はリジェネラティブ・オーガニックコットンを使用したTシャツの販売を開始しています。
上記以外でも、世界で多くの企業や団体がリジェネラティブ農業を意識し、取り入れ始めています。その持続可能性と効果は、地球の未来において重要な役割を果たすことが期待されます。
消費者である私たちは、購入する製品がどういった方法で作られているかを知ったうえで選ぶことが重要になってきています。
参考
https://smartagri-jp.com/food/3028
https://www.kaku-ichi.co.jp/media/tips/column/regenerative-agriculture
https://www.atpress.ne.jp/news/293289
https://eleminist.com/article/1321
https://spaceshipearth.jp/regenerative/
https://agrijournal.jp/production/64232/
https://www.ethicalfood.online/2022/12/271745.html
https://ideasforgood.jp/2021/01/13/regenerative-agriculture/
https://www.patagoniaprovisions.jp/pages/regenerative-organic-agriculture
recommended posts
-
vol.240 影響は海の生き物だけではない!人の体内からも見つかっているマイクロプラスチック
2022.07.11
-
vol.200 アーユルヴェーダに基づく生き方は、世界最古のデトックス法
2022.03.10
-
vol.014 渋木さやかさんインタビュー第2回目 ワークスタイル=ライフスタイルを叶えるヨガが、気持ちの切り替えや自分を輝かせる秘訣に
2020.03.31
-
vol.089 ミニマリストで軽やかに、心豊かな生活を①ミニマリストの歴史とその背景を知ろう
2021.04.09
-
vol.175 いくら休んでも疲れが取れない理由はもしかすると「脳」が関係しているかも!脳疲労とは?
2021.12.20
-
vol.308 口と鼻どちらで呼吸をしていますか?疲れが取れない、風邪をひきやすいのは口で呼吸をしているからかも!?
2023.02.20
-
vol.370 「ギルトフリー」って何?我慢しないヘルシーに楽しむ食事・スイーツ
2023.09.21
-
vol.380 便は身体のバロメーター。毎日チェックして理想の便を維持しよう
2023.10.26
-
vol.216 佐藤香菜さんコラム Organicのある生活の魅力
2022.04.28
-
vol.240 影響は海の生き物だけではない!人の体内からも見つ・・・
column | 2022.07.11
-
vol.200 アーユルヴェーダに基づく生き方は、世界最古のデト・・・
column | 2022.03.10
-
vol.014 渋木さやかさんインタビュー第2回目 ワークスタイ・・・
INTERVIEW | 2020.03.31
-
vol.089 ミニマリストで軽やかに、心豊かな生活を①ミニマリ・・・
column | 2021.04.09
-
vol.175 いくら休んでも疲れが取れない理由はもしかすると・・・
column | 2021.12.20
-
vol.308 口と鼻どちらで呼吸をしていますか?疲れが取れない・・・
column | 2023.02.20
-
vol.370 「ギルトフリー」って何?我慢しないヘルシーに楽し・・・
column | 2023.09.21
-
vol.380 便は身体のバロメーター。毎日チェックして理想の便・・・
column | 2023.10.26
-
vol.216 佐藤香菜さんコラム Organicのある生活の・・・
column | 2022.04.28