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少子高齢化という言葉はここ数十年で多くの方が知っていることかと思います。
厚生労働省が出した2021年の発表でも、20年より2万9786人(3.4%)減り84万2897人の出生数だったそうです。
そんな状況をどうにかしたいと、最近世界中で見直されているのが、妊娠前の体づくり。
「プレコンセプションケア」です。
もしかするとこの言葉自体は初めて聞く方もいるかもしれません。
今後、注目を集めていくであろう「プレコンセプションケア」。どういったケアなのか、今回はみていきましょう。
![](https://www.villalodola.jp/magazine/wp-content/uploads/2022/06/24005679_s.jpg)
「プレコンセプションケア」とは
プレコンセプションケア(Preconception care:PCC)とは、プレ「pre = ~より前の」、コンセプション「conceive = 受胎、妊娠」のことで、つまりおなかの中に新しい命をさずかる前のケアのことをいいます。
将来の妊娠を考えながら、女性やカップルが自分たちの生活や健康に向き合うことを指し、健康が増進することで質の良い生活を実現でき、健全な妊娠、出産の機会を増やすこと。そして次の世代の子供たちを健康にすること。このように基本概念は、ヘルスリテラシー(Health literacy)の向上がポイントなのです。
【過去のヘルスリテラシーに関する記事はこちら】
あなたの考える「生きる」とは。高めようヘルスリテラシー
プレコンセプションケアの歴史
プレコンセプションケアが最初に唱えられたのは、2006年。米国疾病管理予防センター(CDC)が提唱し、世界保健機関(WHO)が 2012 年にプレコンセプションケアを「妊娠 前の女性とカップルに医学的・行動学的・社会的な保健介入を行うこと」と定義しました。
なので、世界では実は15年以上も前から言われ始めていたことなのです。
日本においては、2015年に国立成育医療研究センターでプレコンセプションケア外来が開設され、他の施設でも妊娠前の相談や受診ができる施設が増えてきています。
プレコンセプションケアが世界で勧められている理由
子供を産むことは、尊いこと、である反面、様々な母体へのリスクも生じてきます。
日本WHO協会が2019年に発表している内容をみると、
・2017年のデータでは毎日約810人の女性が、妊娠と出産に伴う予防可能な原因で死亡
・妊産婦死亡の94%は、低・中所得国で生じている
・青少年期にある若い女性(10-14歳)は、成熟した女性に比べて、妊娠に伴う合併症や死亡というリスクが高くなっている
というようなことが挙がっています。
今後、出産を考えている女性にとって、恐ろしいと感じる方もいるかもしれませんが、怖い話だけではなく、逆に
・2000年から2017年の間に妊産婦死亡率(MMR:出産10万件あたりの死亡率)は世界的に38%低下
・出産の前、中、後に熟練したケアを受けることで、母親と新生児の命を救うことが出来る
ということも言われています。
ですから、まずは出産前、妊娠前のケアが赤ちゃんを守るためにも、自分自身を守るためにも大切になってきます。
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プレコンセプションケアはどのようなケアなのか
では、妊娠前から気を付けておきたい体のケアはどのようなことなのでしょうか?
①適正体重を守る
適正な体重はどのくらいかというと、BMIで18.5以上25未満が適正体重と言われています。やせすぎや肥満は不妊につながったり、肥満は合併症のリスクが高まるなどあるので、適正な体重を守ることは大切。
②栄養バランスを整える
妊娠前から、食生活を改善することは、妊娠しやすい体をつくるだけではなく、生まれてくる赤ちゃんの健康にもつながります。
また、若い女性に多い貧血は、妊娠後に早産のリスクを高めます。
自分の美容や健康、赤ちゃんを守れる体づくりのためにもバランスのいい食事を心がけましょう。
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③適度な運動を心掛ける
運動によって全身の血液の循環がよくなると、卵巣の血流の滞りも解消され冷えの改善につながったり、ストレス解消にもなります。
④たばこを吸わない、受動喫煙注意!お酒を控える
たばこは女性ホルモンの分泌が抑えられ、早産、流産、月経不順や不妊の原因になったり、胎児の発育にも悪影響を及ぼします。パートナーからの副流煙にも注意しましょう。
また、アルコールも流産や早産などの危険性が高まります。他にもいろいろと赤ちゃんに影響を与えるので、妊娠中の禁酒はもちろん、妊娠を考えている方も控えめにしましょう。
⑤ストレスをため込まない
過度なストレスはホルモンバランスの乱れや生理不順などを引き起こします。そうすると、妊娠に悪影響となります。妊娠に関わらず、過度なストレスは心身にも負荷をかけるので、運動したりリラックスする香りや音楽などで解消方法を見つけましょう。
ここにあげた5つの項目はあくまで一例で、自宅で今日からできることです。
他にも、定期検診を受けたり、感染症に気を付けるなどできることは多くあるので、気になる方は近くでプレコンセプションケアの相談ができる機関を調べてみてください。
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プレコンセプションケアによって、女性やカップルがより健康になること、元気な赤ちゃんをさずかるチャンスを増やすことは、日本の未来、地球の未来につながっていきます。
勘違いしないでいただきたいのは、プレコンセプションケアは、妊娠を計画している女性だけではなく、すべての妊娠可能年齢の女性にとって、また男性にとっても大切なケアです。
妊娠は女性だけでするものではなく、男性も必要。
男女ともに、健康な生活習慣を身につけること、それはきっと、よりすてきな人生を送ることにもつながるでしょう。
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参考
プレコンセプションケアセンター | 国立成育医療研究センター (ncchd.go.jp)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA251RA0V20C22A2000000/
https://japan-who.or.jp/factsheets/factsheets_type/maternal-mortality/
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