
年末が近づくと、「そろそろ大掃除しないと…」と気持ちがざわつき始めます。
一年間の溜まった汚れをリセットする大切な行事ですが、その一方で「寒い中、大変だし面倒だな」「どうせやっても、すぐまた汚れるし」と、少し億劫に感じている方も多いのではないでしょうか。
特に冬場は、寒さで窓を開けての換気が難しく、掃除中に舞い上がるホコリっぽさや、暖房でこもりがちな室内の空気が気になります。
そんな憂鬱になりがちな大掃除を、香りの力で「楽しく効率的なイベント」に変えてみませんか?
この記事では、植物の力が凝縮された「アロマ(精油)」を活用した、お掃除術と空間リフレッシュ術をご紹介します。汚れを落とすだけでなく、消臭、そして掃除後の空間をリフレッシュするアロマの力で、ピカピカの空間とスッキリした気持ちで新年を迎えましょう。

なぜ大掃除にアロマが役立つのか?
「アロマ=リラックスのための香り」というイメージが強いかもしれませんが、実は精油には掃除に役立つ実用的なパワーがたくさん秘められています。ぜひ知ってほしいアロマのパワーをご紹介します。
汚れを落とす力(溶解作用)
特にレモンやオレンジ、グレープフルーツといった柑橘系の精油に豊富に含まれる「リモネン」という成分には、油を溶かす性質(油性溶解作用)があります。この力は、キッチンのコンロ周りや換気扇にこびりついたベタベタの油汚れと相性の良いです。また、シールを剥がした後の粘着汚れにも役立ちます。

気になるニオイを包み込む力(消臭・芳香作用)
ゴミ箱の生ゴミ臭、排水溝のニオイ、トイレのアンモニア臭など、家の中の不快なニオイ。ペパーミントやレモングラス、ティーツリーなどの精油は、優れた芳香作用を持ちます。強い合成香料でごまかすのではなく、不快なニオイを植物由来の香りですっきりと包み込み(マスキング)、空間を心地よく整えてくれます。
これらの実用的な力に加え、掃除中にアロマの心地よい香りに包まれることで、億劫な作業のモチベーションが上がり、リフレッシュしながら取り組めるという「心理的効果」も、何より大きなメリットです。

大掃除に役立つアロマ
それでは、実際にアロマを使ったお掃除アイテムの作り方と、活用法を見ていきましょう。手作りならではのフレッシュな香りが楽しめます。
万能!アロマ重曹クリーナーの作り方
キッチンの拭き掃除や、冷蔵庫まわりのニオイ対策にも便利。ただし表面がデリケートな家具や、塗装素材には適さない場合があるため目立たないところでテストしてから使用しましょう。
※精油は水に溶けにくいため、使用前によく振ってください
<材料>
重曹:大さじ2
お好みの精油:合計 5〜10滴 (例:レモン5滴 + ティーツリー5滴)
水:200ml
おすすめアロマ
レモン(油汚れ分解)、ティーツリー(清潔感のあるシャープな香り)、ペパーミント(爽やかな香り・排水溝に)など
<作り方>
蓋付きの保存容器(空き瓶などでOK)に重曹を入れます。
精油を垂らし、ダマにならないようによくかき混ぜたら完成です。
<使用例>
シンク磨き: 湿らせたスポンジにこの重曹クリーナーを振りかけ、シンクを磨きます。ステンレスのくすみが取れ、ピカピカに。
コンロ周り: 軽い油汚れなら、直接振りかけて水を含ませたスポンジでこすります。
鍋の焦げ付き: 焦げ付いた鍋に重曹クリーナーを振りかけ、少量の水を加えてペースト状にし、しばらく置いてからこすり落とします。
アルコールベースの拭き掃除スプレー
ドアノブ、床の皮脂汚れ、窓のサッシに使いやすいアイテム。アルコールの揮発性で拭き跡が残りづらいのも魅力です。ただし塗装面や家具によっては相性が悪いこともあるため注意を。また小さな子どもやペットのいる家庭は精油選びを慎重にしましょう。
<材料(100ml分)>
無水エタノール:10ml
お好みの精油:合計 10〜20滴 (例:ユーカリ10滴 + ラベンダー10滴)
水(精製水または水道水):90ml
スプレー容器(ポリスチレン(PS)製以外※)
※精油はプラスチックを溶かす性質があるため、ガラス製、陶器製、または高濃度アルコール対応のポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)製の容器を使用してください。
おすすめアロマ
ユーカリ(クリアでスッとする香り)、ラベンダー(リラックス・皮脂汚れ)、ティーツリー(清潔感のあるシャープな香り)
<作り方>
スプレー容器に無水エタノールと精油を入れ、振ってよく混ぜ合わせます。(先に油分である精油をアルコールで溶かすのがポイント)
水(精製水)を加え、蓋を閉めてさらによく振ったら完成です。
使用前には必ずよく振ってからお使いください。(水と油は分離するため)
<使用例>
床、テーブル、棚、ドアノブ、スイッチプレート、トイレの床などの拭き掃除に。乾いた雑巾や布にスプレーして拭き上げます。
<注意点>
ワックスがけされた床や、白木(無垢材)、革製品、塗装された家具などは、シミになったりワックスが剥げたりする可能性があるため、使用を避けるか、目立たない場所で試してからご使用ください。

アロマ使用時の主な注意点
・精油は「原液」で肌につけたり、飲んだりしないでください。
・ペット(特に猫は精油の代謝が苦手です)や、小さなお子様、妊娠中の方がいるご家庭では、使用できる精油の種類や量、方法に配慮が必要です。使用を控えるか、専門家にご相談ください。
・精油は引火性があるため、火気の近くでの使用・保管は避けてください。
・手作りしたスプレーやクリーナーは、防腐剤が入っていないため、1〜2週間程度を目安に使い切るようにしましょう。
掃除の仕上げに。こもりがちな冬の空気をリフレッシュする香り
大掃除がひと通り終わり、家具も元の位置に戻したら、最後の総仕上げです。掃除で舞い上がったホコリが落ち着いた頃を見計らって、キレイになった空間をさらに心地よく保つための「香り」を活用しましょう。
暖房で乾燥し、換気も滞りがちな冬の室内は、空気がこもりやすい状態です。そんな空気を、まるで森の中を深呼吸するような、清涼感のある香りでリフレッシュさせます。
おすすめアロマ
ペパーミント:突き抜けるような強い清涼感が特徴。こもった空気を一瞬でリフレッシュさせ、気分転換や頭をクリアにしたい時にも最適です。
サイプレス:ヒノキ科の針葉樹の香り。「森林浴」を連想させるウッディでスッキリとした香りは、空間の空気をリフレッシュさせ、心を深く落ち着かせてくれます。
ユーカリ:シャープでクリアな香りが特徴。空気をリフレッシュしたい時に最適です。

大掃除にアロマを取り入れることで、「汚れ落ちのサポート」という実用的なメリットだけでなく、「掃除中の気分転換」、そして「掃除後の空間のリフレッシュ」まで、一貫して心地よい時間に変えることができます。
面倒だった大掃除も、アロマという「お楽しみ」を加えることで、新年を迎えるための大切な「儀式」として、前向きに取り組めるようになるかもしれません。
お気に入りの香りに包まれながら、家も心もピカピカにして、清々しい新年を迎える準備をしましょう。
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