vol.576 私たちにできることは?
ブラジルの動物実験禁止から学ぶクルエルティフリーな選択

column

2025.10.22

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最近、「動物実験をしていないコスメ」や「クルエルティフリー」という言葉を目にしたことがある方も増えてきたのではないでしょうか。
かわいい動物たちを守りながら、美しさや心地よさを追求する流れは、世界中で広がりを見せています。

そんな中、2025年7月にブラジルでは、新しく可決された法律によって、化粧品や香水、パーソナルケア製品に関する試験で「生きた脊椎動物を使うこと」が全国的に禁止されました。南米最大の国ブラジルが打ち出したこの決断は、動物たちの命を守るだけでなく、消費のあり方や企業の姿勢を変えるきっかけとして世界から注目を集めています。

ブラジルにおける動物実験禁止の背景

ブラジルは、自然派化粧品が人気を博す市場として注目されてきました。
しかしこれまでは、州単位での規制しか存在せず、全国レベルの統一法制はありませんでした。

サンパウロ州は2014年に化粧品や香水の動物実験を禁止、リオデジャネイロ州も類似の措置を導入し、連邦裁判所も動物福祉分野での州の立法権を認めていました。
しかしこれらは製造や販売における法的統一性には至らず、結果として全国での法的予見可能性に課題がありました。
さらに、2023年にConcea(国家動物実験監督評議会)がすでに安全性が立証された製品に関して動物実験を原則禁止する決議(Resolução No. 58/2023)を出したものの、やはり限定的でした。こうした議論やNGOの働きかけが積み重なり、ついに2025年7月、連邦レベルでの包括的禁止が実現したのです。

2025年7月の法改正の中身

2025年7月30日に制定された「Law No. 15.183/2025」は、連邦レベルで「生きた脊椎動物」をパーソナルケア製品、化粧品、香水およびそれらの原料の試験に使用することを全面的に禁止しました(法第11.794/2008および第6.360/1976を改正)。
この禁止は、安全性、有効性、毒性評価など人体への影響を調べる試験全般を対象としており、動物実験データの使用も「禁止された後」に実施された試験については、製品承認において利用できません。
ただし、法律施行前に試験を行っていた製品は、市場で販売できるものの、「Cruelty-Free(動物実験なし)」などの表現は使用禁止とされます。
また、公衆衛生当局には2年間の猶予期間が与えられ、代替試験法の承認や普及、ラベル表示の整備など制度の整備が求められています。

日本との違い

日本では現在、化粧品に関する動物実験禁止の法律は存在せず、企業による自主規制や認証活動に委ねられている状況です。
一部のブランドが「クルエルティフリー」を掲げていますが、法的根拠や制度的な裏付けには乏しく、消費者が判断する際の情報も十分とは言えません。

ブラジルの連邦禁止法は、国が法制度を整備することで企業の責任や透明性を高め、消費者に明確なガイドラインを示す好例となります。今後の日本に求められる取り組みとしては、代替試験法の推進、製品表示のガイドライン整備、そして消費者教育の強化が挙げられます。ブラジルの動きをモデルにすることで、今後日本でもエシカル消費がより社会に根付く可能性があります。

私たちができること

ブラジルのように国全体で動物実験を禁止する法律が整うことは大きな前進ですが、それを後押ししていくのは、私たち一人ひとりの消費行動です。
実際に私たちができることの一例に以下の様な行動があります。

クルエルティフリー認証マークを探す

化粧品やスキンケアを買うときは、まずパッケージや公式サイトに「認証マーク」があるか確認してみましょう。
代表的な認証は、ウサギのロゴで知られる「Leaping Bunny」や、PETAの「Beauty Without Bunnies」。日本でも輸入ブランドを中心に見かける機会が増えています。

ブランドの姿勢をチェックする

認証がなくても、企業の公式サイトに「動物実験を行っていません」と明言されている場合があります。
代替試験法を導入しているかどうかもポイントです。最近は日本の大手メーカーでもクルエルティフリー宣言を始める動きが出てきており、応援したいブランドを選ぶことで、その姿勢を支えることができます。

「声を届ける」ことで変化を後押しする

購入するだけでなく、SNSでお気に入りのクルエルティフリー商品を紹介したり、「もっとこういう商品が増えてほしい」と発信するのも効果的です。
企業は市場の声に敏感で、メールやアンケートを通じて要望を伝えることも、変化を促すための立派なアクションになります。

無理なく「選択を切り替える」

いきなりすべてを変える必要はありません。まずはシャンプーやリップなど、日常的に使うアイテムを一つずつクルエルティフリー製品に切り替えてみましょう。
小さな積み重ねでも、年間を通じれば大きな消費のシフトとなり、企業や市場に影響を与えることになります。

ブラジルが2025年7月に全国レベルで化粧品などに対する動物実験を禁止したことは、動物にも人にも優しい未来を実現する上での歴史的な一歩です。

製品選びの際に倫理的視点を持つことで、エシカル消費は社会を変える力へと進化します。私たちが日常で何気なく手に取る一本の口紅、一つのクリーム。その選択が、動物を犠牲にしない未来への確かな一票となり、企業を動かし、社会を変えていくことでしょう。
まずは、私たちができることから始めていきましょう。

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