vol.291 年の初めの縁起物。
「おせち」に込められる日本の文化とこころ

column

2022.12.22

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お正月に食べるお祝いの料理として古くから日本に伝わる「おせち」。
古くから日本の伝統として伝わり、現在でも多くの人がお正月にはおせちを食べます。

本来のおせちは広い意味で使われ、興味深い歴史を歩んできたことをご存知でしょうか。
また、おせちの中身、おせちを詰める重箱にもそれぞれ意味があります。
今回は、おせちの由来と意味にスポットを当て、おせちの詰め方や使われる食材・料理について詳しくご紹介します。
おせち料理の中に、「日本のこころ」として受け継がれる文化を知れることでしょう。

おせちの歴史

おせち料理の由来は「御節供(おせちく)」と呼ばれる供物といわれています。
平安時代。当時宮中で行われていた、元旦や五節供など5つの季節の変わり目ごとに開く大切な節日を祝うため、神様にお供えした食べものを「御節供」(おせちく)といいました。

その後、江戸時代後期、一般大衆にもこの行事が伝わり生活に取り入れられるようになりました。このときに、節日の中で正月が最も重要だったため、「おせち料理」といえば正月の料理をさすようになりました。また、このときぐらいから重箱に詰め られるようになったとか。
縁起物であるごちそうを重箱に詰めることで、「幸せを重ねる」という意味合いを持たせたそうです。

おせちを食べる理由、意味

おせちは神様をおもてなしするための意味もあります。もともとは神様に収穫物の報告や感謝の意をこめ、その土地でとれた野菜や豆腐などをお供えしていました。

そのおせちを食べる理由としては以下などがあります。

・神様にお供えするものを一緒に食べることで御利益にあずかる
・神様を迎える際にせわしくしない
・台所を使わない
・正月の三が日はかまどの神様に休んでもらう
・三が日は「縁を切る」につながる包丁は使わない

おせち料理は何種類作るのが定番?

おせちは、「めでたいことを重ねる」「福を重ねる」という意味から重箱に詰められます。正式には四段重ねですが、地域によっては五段重ねや最近では三段重ねも使われます。
「祝い肴」「口取り」「焼き物」「酢の物」「煮しめ(煮物)」の5種類に分けられ、地方やしきたりによって詰め方は異なるようですが、代表的な詰め方をご紹介します。

一の重は、重箱の1番上の段です。かまぼこや伊達巻、栗きんとん、黒豆など、甘めの口取りや祝い肴と呼ばれる、前菜を入れます。
二の重は、縁起を担いで海の幸や焼き物などメイン料理となるぶりや鯛、海老などを入れます。
三の重には、酢の物や和え物を入れます。
四の重には、レンコンや里芋、ごぼうなど山の幸を使った煮しめや筑前煮などの煮物を入れます。
なお、5段目は「福を詰める」場所として空箱にするのだそう。

おせち料理の食材の持つ意味や料理のルールなど

構成する具材の種類は地域によっても異なりますが、全体でおよそ20~30種類が一般的です。それぞれの具材には、縁起の良い意味や願いが込められています。

・数の子:ニシンの卵である数の子は数が多いことから子孫繁栄を願う。また、ニシンに「二親」の字を当てて、両親の長寿も祈願している。

・田作り:片口イワシを撒いて豊作となった田畑があったことから、五穀豊穣を願う。

・紅白かまぼこ:半月かまぼこは日の出を表す。赤はめでたさや魔除け、白は神聖さや清浄の意味を持っている。

・タケノコ :タケノコは成長が早くてまっすぐ伸びることから、子供の健やかな成長を願う。

・昆布巻:「喜ぶ」にかけて縁起をかつぎ、健康長寿を願う。

・伊達巻:しゃれた身なりの伊達者にカステラかまぼこが似ていたことに由来。書が巻物にされていたことから、知識が増えること・学業成就を願う。

・栗きんとん:黄金色をしていることから財宝にたとえられ、金運を呼ぶ。

・煮しめ:土の中で根を張る根菜が中心で、末永い幸せを願う。

・レンコン:穴があいている形から、将来の見通しがつくことを願う。

・たたきごぼう:根を深く張るごぼうは、家族や家業が土地に根づいて代々続くという意味を持ち、細く長く幸せが続くことを祈願する。

・紅白なます:水引をかたどっているとされ、平安や平和を願う。

・ぶり:ぶりは出世魚と呼ばれていることから、将来出世できるようにと願いを込められている。

・鯛:「めでたい」の語呂合わせはもちろんのこと、恵比寿様が持つ魚としてハレの食卓にふさわしい魚。

・海老:海老のように背中が丸くなるまで健康長寿を願う。

・タコ:関東より北では酢ダコ、関西より南ではうま煮にするのが一般的。タコは加熱すると見た目が紅白になるため、縁起がよい食材として使われ る。また、「多幸」の字を当て、縁起を担いでいる。

・黒豆:邪気を払い、まめまめしく勤勉に働くことや健康で丈夫に過ごせることを願う。

・里芋:里芋は親芋から子芋がたくさんできることから子孫繁栄を願う。

・八つ頭:八つ頭の名前から組織の頭(あたま)となって出世ができるようにと祈られる。

・煮蛤:左右の貝がピッタリ合うのは一つしかないことから、夫婦円満を象徴する縁起物。

・手綱こんにゃく:手綱を締めるように心を引き締め、戦いに備えるという意味と、結び目があることから、良縁や家庭円満を願う。

・かぶ(菊花かぶ):菊は国花であり、祝い事に欠かせない花であることから、繁栄や健康を願う。邪気払いや長寿を願う意味もある。

このようにお正月当たり前に食べているおせち。その一つ一つに意味があり、歴史があります。
年の初めに見た目も美しい料理を食べる日本の文化や心は、これからも継承していきたいもの。ぜひ、各家庭のスタイルに合った方法で無理なく継承し、1年間の健康と幸せを願いましょう。

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