vol.688 世界メンタルヘルス・デーとは?
自分と大切な人の「心」に目を向ける10月10日

column

2026.10.15

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「最近、なんとなく気分が落ち込む」「疲れているのに、なかなか休めない」「以前よりイライラすることが増えた」――。
そんな心の変化を感じることはありませんか?
仕事や家事、育児、人間関係など、毎日の暮らしの中では、気づかないうちに心に負担がかかっていることがあります。けれど、体の不調と違って心の疲れは目に見えにくく、「まだ頑張れる」と無理をしてしまうことも少なくありません。

そんな「心の健康」について考えるきっかけとなるのが、毎年10月10日の「世界メンタルヘルス・デー」です。
今回は、世界メンタルヘルス・デーとはどのような日なのか、その意味や、私たちが日々の暮らしの中で心の健康について考えるためにできることをご紹介します。

世界メンタルヘルス・デーとは?

「世界メンタルヘルス・デー(World Mental Health Day)」は、メンタルヘルス(心の健康)への理解を深め、偏見をなくし、適切な支援やケアの重要性を世界中で啓発することを目的に制定された国際的な記念日です。
1992年に世界精神保健連盟(WFMH)によって始められ、世界保健機関(WHO)も協賛し、現在では世界各地でメンタルヘルスへの理解を深めるための取り組みが行われています。
毎年、世界メンタルヘルス・デーに合わせて、メンタルヘルスに関するさまざまなテーマが取り上げられています。例えば、「職場におけるメンタルヘルス」や「誰もが受けられるメンタルヘルスケア」など、時代に即した重要な課題が取り上げられてきました。

10月10日の夜になると、世界各国の有名な建造物やランドマークが、メンタルヘルスのイメージカラーとされる「グリーン(緑色)」でライトアップされます。日本でも、世界メンタルヘルス・デーに合わせて東京タワーなどの施設がグリーンにライトアップされるなど、さまざまな啓発活動が行われています。

メンタルヘルス=「心の健康」

メンタルヘルスとは、簡単にいえば「心の健康」のこと。
毎日の生活では、うれしいことや楽しいことだけでなく、仕事でのプレッシャー、人間関係の悩み、環境の変化など、さまざまな出来事があります。
そうした出来事によって気持ちが揺れ動くことは、誰にでもある自然なことです。
だからこそ、心の状態にも目を向け、「今の自分はどんな気持ちなのか」「少し頑張りすぎていないか」と振り返る時間を持つことが大切です。

なぜ今、メンタルヘルスが重要視されているのか

近年、「メンタルヘルス」という言葉を耳にする機会が非常に増えました。その背景には、現代社会特有の環境変化があります。

デジタル技術の発達やSNSの普及は、私たちの生活を便利にした一方で、「常に誰かと繋がっている疲れ」や「他人のキラキラした日常と自分を比較してしまうストレス」を生み出しました。また、働き方の多様化や不確実な社会情勢の中で、将来への不安や孤立感を抱えやすくなっていることも一因です。

ここで大切なのは、「心の不調は、決して特別な誰かだけの問題ではない」ということです。
WHOによると、2019年には世界で約9億7,000万人が何らかの精神疾患を抱えていたとされています。メンタルヘルスは、決して一部の人だけに関係するテーマではありません。誰であっても、どれほど強い人であっても、心が疲れてしまう瞬間は訪れるのです。

特に心の疲れは、目に見えるものではありません。そのため、自分でも気づかないうちに無理を重ねてしまう場合があります。
たとえば、
・以前よりイライラしやすくなった
・何をしても楽しめないように感じる
・集中しづらいと感じる
・人と会ったり話したりすることがおっくうになった
・睡眠や食事など、普段の生活リズムが変化した
など、「いつもと少し違う」と感じることがあれば、自分の心に目を向けるきっかけにしてみましょう。
もちろん、こうした変化だけで心の状態を判断することはできません。
大切なのは、「今の自分はどう感じているのだろう?」と立ち止まって考えてみることです。

自分と大切な人を支えるための小さなステップ

では、心の健康について考え、自分や周囲の人を支えるために、私たちは日頃からどんなことができるでしょうか。

1. 「何もしない時間」を自分に許可する

現代人は「常に何かをして生産性を上げなければならない」というプレッシャーに晒されています。
しかし、心には休養が必要です。時には「完璧を目指すこと」を手放し、ただぼーっとする時間や、好きな音楽を聴く時間、あたたかいお茶を飲む時間を取り入れましょう。「今日は何もしない日」と決めて休むことは、決して怠惰ではなく大切なメンテナンスです。

2. 「セルフコンパッション(自分への思いやり)」を持つ

親しい友人が落ち込んでいるとき、あなたはきっと「そんなに責めないで、よく頑張っているよ」と優しい言葉をかけるはずです。その優しさを、自分自身にも向けましょう。失敗したときや思い通りにいかないときこそ、自分の一番の味方になってあげる姿勢(セルフコンパッション)は自分自身を思いやるための考え方のひとつです。

3. 周囲の SOS に「聴く」姿勢で寄り添う

もし身近な人が元気をなくしていたら、「大丈夫?」と声をかけてみてください。アドバイスや解決策を提示する必要はありません。相手の話を批判せず、まず耳を傾けることが、相手に寄り添うことにつながります。

4. 助けを求めることは「強さ」である

どうしても自分一人で抱えきれないときは、家族や友人、職場のカウンセラー、あるいは医療機関や専門の相談窓口を頼ってください。「人に助けを求めること(ヘルプを出すこと)」は弱さではなく、自分を守るための大切な「強さ」であり「勇気」です。

10月10日を「心を労わる日」に

10月10日の「世界メンタルヘルス・デー」は、誰かを批判したり、反省したりするための日ではありません。自分自身の心と静かに向き合い、毎日頑張っている自分や周りの人を温かく労わるための日です。
心の状態は、毎日同じとは限りません。元気に過ごせる日もあれば、なんとなく気分が晴れない日もあります。
もし今日、あなたが少しでも疲れを感じているなら、「平気なふり」を少しだけお休みしてみませんか?
あたたかいお風呂に入り、好きなお茶を飲み、自分自身に「今日もよく頑張ったね」と優しく声をかけてあげてください。その小さな一歩が、あなたと大切な人の心を温かく守ることにつながっていきます。

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