vol.588 漢方の“気”とは?なんとなく不調の正体は“気”の乱れかも。
気・血・水のバランスで整える心と体

column

2025.11.27

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私たちの日常会話の中には、「気」という言葉がたくさん登場します。
「元気が出ない」「やる気がわかない」「気が重い」「気分が晴れる」など、どれも心と体の状態を表すときに使われる表現です。

「検査では異常なし」と言われたのに、どうにも体がだるい、やる気が出ない、疲れが抜けない...。
多くの方が抱えるこうした「なんとなく不調」は、西洋医学の検査数値に表れにくく、解決が難しい場合があります。しかし、東洋医学である漢方の視点から見ると、これらの不調の多くは、生命エネルギーである「気 」の乱れとして捉えられます。

漢方や東洋医学の世界で「気」はとても重要な概念です。
目には見えないけれど、私たちの体を動かし、心のバランスを整えるエネルギーとして考えられてきました。
今回は、漢方の基本となる「気」とは何か、をわかりやすく解説しながら、日常生活に活かせるヒントをご紹介します。

「気 」とは何か? 生命活動の根源となるエネルギー

漢方でいう「気」は、単に「気持ち」や「空気」だけを指す言葉ではありません。それは、生命活動のすべてを支える、目には見えない根源的なエネルギーです。

イメージとしては、私たちの体を動かし、温め、守る「原動力」や「活動力」だと考えるとわかりやすいでしょう。現代医学でいう代謝機能や自律神経の働き、さらには活力といった概念が複合的に合わさった、生命力そのものだと捉えられます。

「気」の役割

この「気」は、私たちの体の中で大切な役割を果たすことで、私たちの健康を維持しています。

・温煦(おんく)作用
体を内側から温め、一定の体温を保つ働きです。この作用が低下すると、冷え性や手足の冷たさを感じやすくなります。

・推動(すいどう)作用
体内の物質である血(けつ)や水(すい)を隅々まで巡らせるポンプのような働きです。気の流れがスムーズでなければ、血や水も滞ってしまいます。

・防御(ぼうぎょ)作用
外から侵入しようとする病気の原因(漢方では「邪気」と呼びます)から体を守るバリア機能です。これが現代 医学でいう免疫力に近い働きだとイメージすると良いでしょう。

・固摂(こせつ)作用
固摂作用とは、体にとって必要なものを、あるべき場所にしっかり保持することをいいます。体液の漏出を防ぎ、内臓をあるべき位置に保持して安定させる、生命維持の重要な働きです。

・気化(きか)作用
気が働きかけることで物質が変化する代謝プロセス全般を指します。飲食物からエネルギーへの変換や体液が汗・尿に変わるなど、生命活動の大きな変化の視点です。

漢方の土台「気・血・水(き・けつ・すい)」の相互関係

漢方医学では、私たちの体は「気」「血」「水」という三つの要素から成り立っており、この三要素が、過不足なく、滞りなくバランス良く巡っている状態こそが「健康」だと考えます。

血(けつ)の役割

「気」と並んで重要とされる要素で、現代医学の血液とほぼ同じ役割を持ちます。
全身に栄養分や酸素を運び、体を潤します。
さらに、精神活動を安定させ、心を穏やかに保つ働きも担っています。
血が不足すると、肌の乾燥や、立ちくらみ、精神的な不安などが生じやすくなります。

水(すい)の役割

「血液以外の体液」全般を指します。リンパ液、胃液、汗、涙、細胞間液など、体内の水分すべてが含まれます。
体を潤し、関節の動きを滑らかにする潤滑油のような役割を担っています。
水が滞ったり偏ったりすると、むくみやめまい、体が重い、下痢などの不調につながります。

「気」のバランスが崩れたときの代表的な不調パターン

「気」のバランスが崩れると、主に「足りなくなる(虚)」か「滞る(滞)」という形で不調が現れ、これが「なんとなく不調」の主な原因となります。

気虚(ききょ):気が不足している状態

体がガソリン切れを起こしたように、エネルギーが足りない状態です。
具体的なサイン:慢性的な疲労感や倦怠感、食欲不振、風邪をひきやすい(防御作用の低下)、声が小さい、すぐ息切れする、といった状態に結びつくことがあります。

気滞(きたい):気の流れが滞った状態

エネルギーはあるのにスムーズに流れていない、つまり渋滞している状態です。精神的なストレスや緊張が主な原因になります。
具体的なサイン:イライラや憂鬱感、胸やお腹の張り、ゲップやため息が多い、喉に何かが詰まったような感じ。

気逆(きぎゃく):気の流れが逆行してしまう状態

体内の気の循環が乱れているために、本来ならば頭から手足の先、上半身から下半身に向けて下降していかなければならない「気」が逆流している状態です。
具体的なサイン:のぼせ、吐き気、せき込み、めまいなどが代表的なサインです。

注意

ご紹介した体質タイプや症状は、漢方的な考え方に基づくものであり、特定の病気や疾患の診断を行うものではありません。ご自身の具体的な体調不良や病気の診断については、必ず医療機関を受診してください。

「気」を整えるための生活習慣

「気」は食事・睡眠・運動・心のケアと深くつながっています。特別なことをしなくても、日常の工夫で整えていくことが可能です。

食事

胃腸は「気」を作る源と考えられています。冷たいものや脂っこいものに偏らず、温かいスープや雑穀、旬の野菜を中心にした食事がサポートになります。

睡眠

夜更かしや睡眠不足は「気」の回復を妨げます。しっかり休むことで翌日のエネルギーが整いやすくなります。

運動・呼吸法で気を巡らせる

軽いウォーキングやストレッチ、ヨガ、深呼吸は「気滞」の解消に役立つとされます。

心を整える時間を持つ

ストレスは「気」の流れを滞らせます。アロマ、ハーブティー、自然の中で過ごすなど、自分に合ったリラックス法を持つことが大切です。

漢方における「気」とは、心と体を支える大切なエネルギーのこと。
「気」が不足したり滞ったりすると、私たちは疲れやすくなったり、気分が不安定になったりします。
日常生活の中で食事や睡眠、呼吸法や心のケアを意識することは、「気」を整え、健やかに過ごすためのヒントになります。
見えないからこそ、丁寧に向き合いたい「気」。
漢方の知恵を参考に、自分の体と心の声に耳を傾けてみてはいかがでしょうか。

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