vol.532 豊かな海を次世代へ。SDGs目標14達成に向けた世界と
日本の取り組み、そして私たちにできること

column

2025.06.23

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海は地球の生命を支える重要な存在であり、食料供給や気候調整、酸素生成など、人類の生活に欠かせない役割を果たしています。しかし、その豊かさは現在、深刻な危機に直面しています。
前回は、SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」の背景にある海洋汚染や乱獲、気候変動などの課題について取り上げ、これらがもたらす影響を具体的な事例を交えて考察しました。この状況を放置すれば、海洋生態系の崩壊だけでなく、私たちの未来に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
今回は、この課題解決のために、私たち一人ひとりでどのように関われるのかを探っていきます。日常生活の中で私たち一人ひとりができる小さなアクションは、やがて大きな変化を生む可能性があります。共に考え、行動することで、未来の海を守る第一歩を踏み出しましょう。

海の資源が減ることと私たちの生活の関係

海の資源の減少は、私たちの生活基盤を根底から揺るがします。
まずは、食卓に並ぶ魚介類が減少することで、私たちの豊かな食文化が失われます。それだけでなく、漁業に携わる人々の生計を直撃します。
また、美しいサンゴ礁は多様な海洋生物の住処であると同時に、観光資源としての価値も高く、その消失は地域経済に大きな打撃を与えます。
さらに、海洋は地球の気候を調整する重要な役割を担っています。例えば、CO2を吸収し、温暖化の進行を緩やかにする働きや、沿岸域を自然災害から守る役割などです。
海の豊かさが失われれば、気候変動の影響がより深刻になり、私たちの生活環境そのものが脅かされることになるのです。海の恵みは、私たちの食、経済、そして地球環境の安定に深く結びついているのです。

SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」に対する世界の取り組み

海洋問題とSDGs目標14「海の豊かさを守ろう」に対する各国の取り組みは多岐にわたりますが、特徴的な事例が見られる国と、その取り組みをご紹介します。

インドネシア

インドネシアは海洋プラスチックごみ対策に注力しており、「国家海洋プラスチック行動計画」を策定し、2025年までに海洋ごみを70%削減する目標を掲げています。企業や地域社会と連携した清掃活動や、プラスチック代替素材の開発支援などを推進しています。

オーストラリア

グレートバリアリーフの保護に力を入れており、サンゴ礁の回復プロジェクトや水質改善のための取り組みを実施しています。また、海洋保護区の拡大や、違法漁業の監視強化も行っています。

エジプト

エジプトは憲法で漁業者の保護を明記し、「バル・アマン計画」を通じて4万人以上の漁業者に環境配慮型の漁具を提供しています。また、気候変動適応計画の中で小規模漁業者の支援を強化しています。

ノルウェー

持続可能な海洋資源管理の先進国として知られ、科学的根拠に基づいた漁業管理や、海洋汚染防止のための厳格な規制を実施しています。また、「海洋のためのハイレベルパネル」を主導し、国際的な海洋問題への取り組みを推進しています。

オマーン

オマーンは「経済ビジョン2040」に基づき、若年層の漁業参入を促進するとともに、衛星追跡システムを導入して違法漁業の監視を強化しています。2024年時点で監視範囲は国海域の85%に拡大しています。

アイルランド

アイルランドでは、2030年までに自国海域の30%を海洋保護区に指定する法案を準備中です。さらに、地域コミュニティ主導の沿岸管理プログラムを展開し、地元漁師と連携した資源管理を進めています。

カナダ

カナダは広大な沿岸域と海洋資源を有し、海洋保護区の拡大や、持続可能な漁業のための政策を実施しています。また、北極海の環境保護や、先住民コミュニティとの連携による海洋管理も進めています。

イギリス

イギリスでは海洋保護区の拡大や、海洋プラスチックごみ対策を強化しています。特に、使い捨てプラスチックの削減に向けた政策や、海洋環境への影響を考慮した漁業管理を推進しています。また、海外領土における海洋保護にも力を入れています。

スペイン

スペインでは、カボ・デ・パロス漁業保護区で漁師自身が密漁監視を行い、EU漁業基金の支援も受けて在来種の個体数回復に成功しています。伝統的な漁法と現代技術の融合が特徴です。

ベルギー

ベルギーでは、フランダース海洋研究所が市民参加型の海洋研究を推進し、国際機関や企業、市民が協働するプロジェクトが数多く実施されています。市民科学の力を活用したデータ収集や啓発活動が進んでいます。

日本の取り組み

日本はSDGs目標14「海の豊かさを守ろう」に対し、法整備と官民連携による多角的な取り組みを推進しています。海洋汚染防止法(1970年制定、2017年改正)に基づき、油や有害物質の排出規制を強化し、2020年には453件の海洋汚染事案に対応しました。プラスチック資源循環戦略(2019年策定)では、2030年までに使い捨てプラスチックの25%削減を目標に掲げ、レジ袋有料化義務化やバイオマス素材の導入を加速。特に2022年施行の「プラスチック資源循環促進法」では、設計段階からのリサイクル促進と事業者責任を明確化しています。

地域レベルでは、日本財団が環境省と連携し「海ごみゼロウィーク」を展開。2019年には全国1,500箇所で43万人が清掃活動に参加し、富山や瀬戸内海沿岸では市民参加型のモデル事業を実施。技術開発面では東京大学と共同でマイクロプラスチックの生態影響を調査し、AIを活用したごみ回収システムの実証実験を推進。さらにJICAを通じ、東南アジア諸国への持続可能な漁業支援やマングローブ再生プロジェクトを展開し、国際協力にも注力しています。これらの取り組みは、海洋生態系の保護と経済活動の両立を目指す包括的な戦略として機能しています。

目標14「海の豊かさを守ろう」に対する個人の取り組み

この海の問題に対して、私たちができることは多くあります。

まずは、プラスチック削減が最も重要で、マイバッグや繰り返し使える容器の活用が効果的です。レジ袋や使い捨て食器を避け、過剰包装を控えることで年間数十キロのプラスチックごみを削減できます。

海岸清掃活動への参加も有効で、自治体や団体のイベントに加え、海水浴時にゴミを拾うだけでも貢献可能です。ただし危険な場所での無理な回収は避けましょう。

水産物を選ぶ際はMSC/ASC認証マーク(※)付き商品を選び、持続可能な漁業を支援。家庭では廃油を流さず固形化し、洗剤の使用量を減らすことで水質汚染を防げます。
これらは今日から始められる行動で、一人ひとりの積み重ねが海の未来を守ります。

※:MSC認証は持続可能な天然漁業、ASC認証は環境・社会に配慮した持続可能な養殖業の認証マークです。

SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」は、単に青い海の美しさを守るだけではありません。健全な海洋生態系は、私たちの地球全体の気候を安定させ、食料を提供し、経済活動を支える、まさに持続可能な社会の根幹です。目標14の達成なくして、私たちの未来、そして地球の未来はあり得ません。
未来の世代へ、私たちは何を手渡せるでしょうか。それは、プラスチックに覆われた悲しみの海ではなく、多様な生命が輝き、豊かな恵みをもたらす美しい海であってほしいと願いませんか?
目標14の達成は、未来の子供たちへの私たちからの贈り物です。私たちが今、行動を起こすことこそが、彼らに希望に満ちた未来を託すための唯一の道なのです。

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