毎日のようにTVやCMから流れてくる「エコ」「SDGs」や「サスティナブル」という言葉。
それは大量生産技術が進み、大量消費、大量廃棄が引き起こした結果でもあり、循環型社会が損なわれてしまい、そして深刻な環境問題に直面しているから・・・。
必要と思った時に気軽に購入可能な深夜営業店舗も増え、たくさんの使い捨てアイテム等市場に出回り、生活に困ることはありません。
しかし、昔はこのような便利で何でも手に入る時代ではありませんでしたが、手元にあるものをうまく利用し、繰り返し使用する世界トップクラスの循環型社会が存在した時代があったのです。
そんな時代に今回はタイムスリップしてみたいと思います。
世界最先端を進んでいた日本の循環型社会の時代とは?
リサイクル、リユースなどが増えてきている今。
実は世界の中で昔から率先して行っていたのは意外にも日本でした。
それは日本の「江戸時代」。
江戸時代はリユース・リサイクルが当たり前
江戸時代には環境問題という言葉は存在せず、現在のように便利な時代とは程遠いものでした。
しかも庶民の生活は決して裕福ではなく、物も不足している時代。手元にあるものを使い捨てることなく、再利用したり、修理をしたりして使わざるを得ない状況でした。
例えば傘の修理、下駄の修理、茶碗などの食器の修理、農具の修理など様々な職人が存在していました。
また、江戸時代の衣類の「着物」。着物は誰でも着用できるよう、そして子孫へ受け継ぐことができるように大きな布を縫い合わせて作られ、糸がほどけたらまた縫い合わせて使われていました。
着物の布が薄くなり柔らかくなった場合は寝巻きとなり、更に使い込んで着物として機能しなくなった際には、赤ちゃんのおむつとして、最終的には雑巾となり、着物として使われていた布も途中で捨てることもせず、大切に、何度も何度も形を変え、最後まで使われていたものでした。
このように当時はリユース、リサイクルが自然と行われてきました。
江戸時代は排泄物までもリサイクル!?
時を同じく、西洋では下水道が既に開発されていましたが、汚水処理されることもなく、川や海にそのまま流されていた為、都市部では悪臭がひどかったと言われています。
では江戸時代の日本はどうでしょうか。
水洗トイレはもちろん無い時代なのですが、汲み取り型のトイレがあり、江戸時代の農家はトイレに溜まった排泄物を農作物への肥料として喜んでお金や野菜と引き換えに購入されていたそう。
作物に撒かれた排泄物は土の微生物によって分解され、時間が経てば臭いも気になることはなく、江戸の都市部にもかかわらず、ある意味屎尿処理手段ともなっていた驚きの事実でもあるのです。
ゴミにしない、循環型社会
どんなに大切に使っていても長年使用していればどうしても使えなくなってしまうものもあります。
そんな時、私たちはすぐに「ゴミ」として捨ててしまうのですが、江戸時代のすごいところは、「ゴミ」と言う捉え方ではなく、火を起こす際の「燃料」として考えられていたとのこと。
しかも燃やされた後は灰になってしまうため、流石に灰になったら使い道が無い、と思われがちですが、なんと灰は肥料として使える、染め物としても使える、と言うことで灰を買い取る専門業者もいたそう。
少しでもこの「燃料」である灰を増やすために、落ちている紙くずを探して拾う行商人や使用後の蝋燭の蝋を買い取る行商人も居たと言うから驚きです。
「もったいない」を生かした生活スタイル
傘、下駄、茶碗、衣類等の生活必需品を大事に使い、壊れても直して使う、リサイクルとして安価で売り出すということは物が無限にある訳ではないからこその「もったいない」という考えからでてきたのでしょう。
この「もったいない」という考えは食料においても同じ。
現在では農業技術が進展し、季節を問わず1年中あらゆる野菜が手に入りますが、江戸時代は太陽のエネルギーを大切にして、気候に合わせて旬の恵みを大切にしてきました。
貯蔵することも難しい状態で、天候に左右され、自然の恵みとして収穫された大事な農作物。
余すことなく調理され、残すことなく大切に食されていました。
排泄物や灰となったものまでうまく活用し、紙くず1つですら「もったいない」の精神が生かされていた江戸時代は、都市部ですら今で言う「ゴミ」は落ちておらず、綺麗な街だったと言われています。
あらゆる行商人が存在し、うまく循環をしていた生活スタイルが成り立っていた江戸時代。
江戸時代の「もったいない」の考え方は、
「全てのものが恵みであり、全てのものがありがたいもの、全てに繋がるもの」
と言うものだったのではないでしょうか。
江戸時代から見習ってできることとは?
全部が全部江戸時代と同様に…と言うわけにはいかないですが、できることも多くあります。私たちが今できることはどのようなことでしょうか。
例えば
・洋服を頻繁に買わない
・着られるものは捨てずに洋服のリメイク、リサイクル
・古くなったタオルを雑巾に
・家庭菜園をしてみる
・コンポストで家庭から出る生ゴミで肥料を作ってみる
・壊れたと思っても修理して使用する
・エコバッグ、マイボトルを持っていく
・過剰包装はしない、断る
・野菜や果物はバラ売りのものを買う
・食品トレーや牛乳パックなどはスーパーにあるリサイクルBOXへ…等
1人1人の意識が現代でも循環型社会への糧となるはずです。
ある物に感謝をし、無駄の無い生活を
江戸時代の人々が私たちの暮らしぶりを見ることが出来たならば、きっと宝の山!と思うはず。
廃棄されているものはきっと「まだ使えるのにもったいない」と思われるでしょう。
購入する際に買い過ぎることの無いよう、購入したならば大切に使用し、食べられるもの、使えるものを、簡単に「ゴミ」として捨てないように心がけて行くことは今日からでもできます。
捨てる前に是非一度、江戸時代の循環型社会を思い出していただき、再度考えてみてください。
今お持ちのものはもしかしたら循環型社会への第一歩になるものかもしれません。
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