vol.078 佐藤香菜さんコラム Organicのある生活の魅力

column

2021.03.10

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食べるもの わたしを作るもの

日々の暮らしにはたくさんの喜びがあるけれど、その喜びが直接的に自分の体を作り上げている、そんな習慣が「食べること」です。
そういえば、日本語には噛みしめるという言葉がありますが、これは食べる際に使われるだけでなく「喜びを噛みしめる」「笑いを噛みしめる」というように物事を存分に感じ取ろうとする様が表現されていて、とても日本語らしくて興味深い言い回しだと感じています。食べることの大切さを考えながら、今回は私が大好きな食べ物について、その想いを綴ります。
TOPにある大きな木の写真は、数年前に行ったフィリピンのTHE FARMというホリスティックなリゾート施設に堂々と佇む、樹齢200年(!!)のマンゴーの木。ここは皆にとってとても神聖な場所なのだと施設の方が教えてくれました。このマンゴーの木の包容力に圧倒されたあと、また違う形でわたしはマンゴーの虜になってしまったのです・・!

それが、市場で見つけたこのグリーンマンゴー。
一般的にわたしたちが食べたことのある黄色くて甘いマンゴーは熟した状態ですが、このグリーンマンゴーは未熟な状態。
ゆえに輸送の関係上、日本ではお目にかかることがありませんでした。熟していないので当然のごとく硬くてポリポリとした食感で酸味が強いのですが、暑いフィリピンの気候でバテ気味だったわたしにとって、ガツン!と衝撃が走る美味しさだったのを覚えています。
それ以来この味を思い出しては「あ〜、あの酸っぱくて独特の食感だった緑色のマンゴーが忘れられないよ・・」と周囲の人に呟くほど懐かしんでいたのですが、思わぬタイミングで、しかも日本で再会 することになったのです。
東京・上野といえば有名なアメ横。多国籍で様々な文化を感じられる場所で、本場の味を楽しめるレストランや豊富なスパイス類を買えるお店があったりと、実はとても好きな街の一つです。その中心部にあるアメ横センタービルの地下食品街。階段を降りればそこは東南アジアの市場のような独特の香りを漂わせています。
しばらく歩いていると、そこには見覚えのある緑色のフルーツが並んでいるではありませんか。思わず「グリーンマンゴー!!ここにあったなんて・・!」とウルウルした目でお店のスタッフさんを見つめるわたしに思わずスタッフさんも苦笑い。この場所でグリーンマンゴーを購入するのはフィリピンやタイの方だそうで、日本人はこれをあまり知らないよ、とのこと。それ以来、たびたびこの場所を訪れては日本価格でだいぶ高級品になったこの大好物を大切にいただくことにしています。
この写真のように真ん中には平べったい種があるので、その周りをこのように短冊状に切って食べます。酸味が好きな人にはたまらないはずです!

もう一つ、わたしが愛してやまないフルーツがあります。
それはアムラ。インド伝承医学のアーユルヴェーダではビタミンCの女王とも言われ、現地では砂糖漬けやピクルスにして食べるほか、美容面においては昔から地肌や髪に良いと言われており、粉末化したものをヘナに混ぜてパックし美しい髪を育てるのだそうです。
実は数年前、ドライフルーツになったアムラをいただいたことがあり、例えるならば梅のような食感がとても美味しいと感じたのですが、生の状態を見たことはありませんでした。最近のある日、夫が自宅に帰ってきて「職場の近くにハラール認証の製品が集まった店ができた。アムラっていう実があったんだけど今度買ってくる?」と。まさか夫の口から突然アムラという言葉が出てくるとは、わたしが興味を持ちそうなものを察知してくれるなんて夫婦になるべくしてなったとすら思ってしまいました。そしてついにアムラとの対面を果たしたのです。
それがこちら。
見ての通り、梅に似ています。そのまま生で食べると渋みと酸味が強く、美味しいとは言えないので、種を取り除きハチミツに漬けることに。3日も経てば実から水分が出てシロップ状になるので、これを炭酸で割ったりヨーグルトに入れたりして楽しめます。

食べるという行為がただ栄養を摂取して生きるためならば、地球上の食物はもっと少なかったかもしれません。
ここまで多くの食物の選択肢があることは、命を繋ぐだけではない、プラスαの【幸福感】を得るための地球からの贈り物。
それをどのように組み合わせ、調理し、よりいっそう美味しく摂ることができるのか、いつの時代もそれは暮らしの中の大きな部分を占めています。食べ物を噛みしめて咀嚼をすると、視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚という五感で得られる情報全てが刺激されて脳が活性化するそうです。わたしが忘れられなかったあのグリーンマンゴーも、個性的なアムラも、その味わいや食感が他のどれとも違う個性があったからこそ脳の記憶に鮮明に刻まれたわけです。
食べるものは、わたしを作るもの。体だけでなく気持ちの栄養にもなるということを歳を重ねるごとに実感できるようになりました。だからこそ「これでいっか」ではなく「これがいい!」という前向きな気持ちで、自分が本当に好きな食べ物に出会い、向き合っていきたいと思うのでした。

About Villa Lodola<ヴィラロドラについて>
自然とともに生きる豊かなライフスタイルを提案していきます
ヴィラロドラはイタリア・ウンブリア州に広がる有機栽培農場で生まれたオーガニックブランドです。
Profile
佐藤 香菜(Freelance Branding Director)
営業や撮影スタジオ勤務などの職種を経て2010年(株)マッシュビューティーラボ入社。
幼い頃から母親の影響で好きだったオーガニックコスメの仕事をすると決め、コスメキッチン店頭スタッフとして勤務を始める。3年間の間に店長職を経て、本社へ異動。
コスメキッチンの別業態 Biople by CosmeKitchen(ビープルバイコスメキッチン)を立ち上げ、ディレクターとして5年活動し、昨年独立。オーガニックやナチュラルをコンセプトに掲げる企業やブランドの企画・立案やコンサルティングを行なっている。世界中の魅力的なオーガニックコスメやフード、エコ雑貨を求めて旅する様子は、TVの密着番組や雑誌、本人が実体験に基づく言葉で綴るインスタグラム等で発信されている。

Instagram:kana_sato622

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