vol.683 睡眠は妊活に影響する?
知っておきたい「メラトニン」と睡眠の関係

column

15hour ago

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普段から健康のために、食事や運動、睡眠を意識している方は多いのではないでしょうか。
特に妊娠を意識している方や、将来妊娠を考えている方は、食事のバランスを見直したり、サプリメントを取り入れたり、ストレスを減らしたりと、さまざまな工夫をされているかもしれません。

その生活習慣の中で、意外と見落とされがちなのが「睡眠」です。

「睡眠と妊活に何の関係があるの?」と思う方もいるかもしれません。
「睡眠不足は体によくなさそう」となんとなく分かっていても、具体的に睡眠が妊娠や女性の体にどう影響しているのかまで知っている人は多くありません。

実は、睡眠と生殖機能には関連があることが研究で示されています。その背景の一つとして注目されているのが、睡眠や体内時計に関わるホルモン「メラトニン」です。

この記事では、睡眠が妊活に与える具体的な3つの影響と、その鍵を握る「メラトニン」の役割、そして今日から実践できる質の良い睡眠をつくる工夫について分かりやすく解説します。

睡眠と妊活の関係で知っておきたいポイント

睡眠は、私たちが想像している以上に「妊娠しやすい体づくり」と密接に結びついています。
これまでの研究では、睡眠時間が短いことや睡眠の質が低いこと、夜型の生活リズムなどと、女性の生殖機能や妊娠に関わる指標との関連が報告されています。

2024年の系統的レビューでも、睡眠の質が低いこと、極端な睡眠時間、夜型のクロノタイプなどが、卵子の採取数や胚の質、受精率などの妊娠治療の結果と関連している可能性が示されています。
睡眠不足や乱れた生活習慣が妊活に与える主な影響は、大きく分けて以下の3つです。

① 女性ホルモンの分泌リズムが乱れる

女性の体をコントロールしているエストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンは、脳の「視床下部(ししょうかぶ)」という部分からの指令によって分泌されます。視床下部は、睡眠・覚醒のリズムや自律神経だけでなく、女性の生殖機能に関わるホルモン調節にも関係しています。そのため、睡眠や体内時計の乱れと、生殖機能との関連について研究が進められています。

② 自律神経や体内時計との関係が注目されている

睡眠と覚醒のリズムは、自律神経や体内時計とも深く関係しています。睡眠不足や夜型の生活が続くと生活リズムが乱れやすくなるため、妊活中も規則正しい睡眠を心がけることが大切です。

③ 体内時計と生殖リズムとの関係が研究されている

私たちの体には、約24時間周期で働く「体内時計(サーカディアンリズム)」があります。このリズムは睡眠だけでなく、ホルモン分泌などさまざまな生理機能にも関わっています。体内時計と生殖機能との関係も研究されており、妊活中は睡眠を含めた生活リズムを整えることが大切です。

睡眠が重要な理由のカギ!「メラトニン」の隠れた役割

睡眠と妊活の関係を考えるうえで、注目したい存在の一つが、夜間に分泌が増える「メラトニン」というホルモンです。

睡眠に関わるメラトニンとは?

メラトニンは、脳の松果体から分泌されるホルモンです。
夜になると分泌量が増え、体に「夜が来た」ことを知らせることで、睡眠と覚醒のリズム、いわゆる体内時計の調節に関わっています。
朝に光を浴びると体内時計がリセットされ、夜になるとメラトニンの分泌が高まる――。
このようなリズムが、私たちの自然な睡眠・覚醒サイクルを支えています。
つまり、毎日の睡眠を整えることは、単に「疲れを取る」ためだけではなく、体内時計を整えるという意味でも大切なのです。

なぜメラトニンが妊活でも注目されているの?

メラトニンは一般的に「眠気を誘う睡眠ホルモン」として知られていますが、実は「抗酸化作用(細胞をダメージから守る働き)」を併せ持っています。
私たちは生きているだけで体内に「活性酸素」が発生しますが、ストレスや加齢、睡眠不足などによって過剰に増えると、細胞にダメージを与える「酸化スレス」という状態になります。この酸化ストレスは、体内の大切な細胞である「卵子」にも悪影響を及ぼすと考えられています。
近年、卵子を育む「卵胞液」の中にもメラトニンが存在することが判明し、卵胞内の酸化ストレスとの関係が研究されています。

今日から見直す!「質の良い睡眠」をつくる5つの工夫

「質の良い睡眠」を促し、メラトニンの分泌を高めるための今日からできる5つのアプローチを紹介します。

① 朝起きたら太陽の光を浴びる

「夜のメラトニン」をつくるためには、「朝の光」が欠かせません。朝に光を浴びることで体内時計が調整され、夜になるとメラトニンが分泌されやすくなります。

② 就寝1時間前はデジタルデトックス

寝る直前はスマホやTVを見ない時間をつくりましょう。画面を見る代わりに、あたたかい飲み物を飲んだり、静かな音楽を聴いたりして脳をリラックスモードに切り替えましょう。

③ 入浴は就寝の90分前にぬるめのお湯で

入浴によって一時的に上がった「深部体温」が下がり始めるタイミングで、人は自然な眠気を感じます。入浴は就寝の1〜2時間ほど前を目安に、無理のない範囲でゆっくり湯船につかるのもよいでしょう。

④ 寝室はできるだけ暗くして静かな環境をつくる

メラトニンは光の影響を受けるため、夜は照明を落とし、暗めの環境で過ごすことが体内時計を整えるうえで役立ちます。遮光カーテンを活用したり、間接照明に切り替えたりして、暗く静かな環境を整えましょう。

⑤ 休日も平日と同じ時間帯に起きる

休日に起床時間が大きくずれると、平日との生活リズムの差が大きくなります。休日も起床時間を大きくずらさないことを意識してみましょう。

「妊活のためのメラトニン摂取」には注意

ここで注意したいのが、メラトニンのサプリメントです。
海外ではメラトニンを含むサプリメントが利用されていますが、生殖補助医療の研究で使用されたメラトニンと、市販のサプリメントを自己判断で摂取することは同じではありません。
また、妊活中は妊娠する可能性も考慮する必要があります。
「妊活に良いらしいから」と自己判断でメラトニンを摂取するのではなく、使用を検討する場合は、妊娠を希望していることを伝えたうえで、医師や薬剤師などの専門家に相談しましょう。

睡眠は、私たちの体内時計や自律神経、ホルモン分泌などと関わる大切な生活習慣です。さらに、睡眠に関わるメラトニンと生殖機能との関係についても研究が進められています。
もちろん、「たくさん眠れば妊娠しやすくなる」「メラトニンを増やせば妊娠できる」という単純なものではありません。妊娠にはさまざまな要因が関係しています。
だからこそ、妊活中は「早く寝なきゃ」とプレッシャーを感じすぎず、まずは「今夜はスマホを少し早めに置いてみる」「朝起きたらカーテンを開けてみる」といった小さなことから始めてみましょう。
毎日の睡眠と生活リズムを少しずつ整えることを、自分の体と向き合うきっかけにしてみてはいかがでしょうか。

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