
前編では、世界人口が83億人を突破し、今なお増加を続けている歴史と背景を見てきました。
しかし、その中身を覗くと、爆発的に人口が増える「開発途上国」と、急速に人口が減っていく日本のような「先進国」という、極端な二極化が進んでいます。
世界人口デーである7月11日。後編では、この「増える世界」と「減る日本」がそれぞれ直面している課題を見つめ、私たちが明日からできることについて考えていきましょう。

人口が増えることで起こる課題(途上国の課題)
まず、人口が増え続けているアフリカや南アジアなどの途上国が直面しているのは、地球環境や資源の限界です。
人間が生きていくためには、食料、水、そしてエネルギーが必要です。人口が急増すれば、それだけ多くの資源が消費されます。現在でも世界では約7億3,000万人が飢餓に苦しんでいますが、このまま人が増え続ければ、食料や水資源をめぐる課題は、さらに深刻化する可能性があります。
また、森林を切り開いて農地を広げるなど土地利用が進むことで環境破壊が進み、二酸化炭素の排出量が増え、気候変動(地球温暖化)に拍車をかけるという悪循環も生まれています。
さらに重要なのが「人権と格差」の問題です。子どもの数が多すぎる地域では、十分な教育や医療が行き届かず、貧困から抜け出せない悪循環が続いています。国連人口基金(UNFPA)は、女性が自らの意思で妊娠や出産を選択できる権利(リプロダクティブ・ヘルス/ライツ)の重要性を訴え続けていますが、その保障こそが、結果として緩やかで持続可能な人口推移につながるとされています。

人口が減ることで起こる課題(日本の課題)
一方で、私たちの暮らす日本に目を向けると、景色は180度異なります。
日本の人口は2008年をピークに減少に転じており、現在は世界で最も高齢化が進んだ国の一つです。世界が「増えすぎ」に悩む中で、日本は「減りすぎ・高齢化しすぎ」という真逆の課題の最前線に立っています。
人口減少がもたらすのは、社会システムの危機です。
・労働力不足:働き手が減り、インフラの維持やサービスの提供が困難になる。
・社会保障費の増大:支える側(現役世代)が減り、支えられる側(高齢者)が増えることで、年金や医療制度が逼迫する。
・地方の消滅可能性:人口が都市部に集中し、地方自治体が維持できなくなる。
日本のこうした姿は、決して他人事ではありません。実は、中国や韓国、そしてヨーロッパの一部の国々も、急速に日本と同じ道を歩み始めています。日本がこの課題にどう立ち向かうかは、「世界の未来の道標」でもあるのです。
7月11日に、私たちができること
世界全体で見れば「地球の資源が足りない」。
日本国内で見れば「社会を支える人が足りない」。
一見すると矛盾しているように見えるこの2つの課題を前に、私たちは何をすればよいのでしょうか。
共通しているのは、「誰もが安心して暮らせる社会をどうつくるか」という点です。
人口が多すぎても少なすぎても課題は生まれます。
大切なのは人口の数そのものではなく、人々が健やかに暮らし、社会が持続的に発展できる環境を整えることなのです。
私たちが「地球市民」として、そして「日本の当事者」としてできるアクションは、決して小さくありません。

サステナブルな消費を意識する(対・世界へのアクション)
私たちが暮らす先進国の生活は、途上国に比べて多くの資源を消費し、多くのゴミや温室効果ガスを排出しています。「食品ロスを減らす」「エネルギーを無駄にしない」「長く使えるものを選ぶ」といった身近な選択が、地球全体の資源を守り、人口増加が続く地球の負担を減らすことにつながります。
家族や社会の「多様性」を認める(対・日本へのアクション)
日本の人口減少の背景には、子育てのしづらさや、働き方の柔軟性の欠如といった社会構造の問題があります。育児を社会全体で支える意識を持つこと、多様な生き方や働き方を認め合うこと。こうした一人ひとりのマインドのアップデートが、暮らしやすい社会をつくり、未来を明るく変えていく土台になります。

「世界人口が83億人になった」 その数字だけを聞くと、あまりに巨大すぎて、自分とは無関係の遠い世界の出来事のように思えてしまうかもしれません。
しかし、その「83億」という数字は、あなたや私、そして今日この日に生まれたどこかの赤ちゃんという、一人ひとりの「かけがえのない命」の積み重ねです。
7月11日の世界人口デー。 この日は、世界のダイナミックな動きに視野を広げると同時に、私たちの目の前にある暮らしや社会のあり方を、少しだけ愛おしく、そして真剣に見つめ直す。そんな一日にしてみませんか。

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