
漢方薬の約7割に配合され「生薬の王」といわれるハーブをご存知でしょうか。
それが「リコリス」、和名で「甘草(カンゾウ)」と呼ばれるハーブです。
健康や美容を支える素材として、長い歴史の中で人々の暮らしに寄り添ってきた存在であり、私たちの生活の中でも意外なほど身近にあります。しかし、その一方で、具体的にどのような植物なのかを詳しく知っている人は少ないかもしれません。
欧米では真っ黒なグミ「リコリス菓子」として親しまれ、また醤油や味噌などの発酵食品において、甘味料として使われてきた歴史もあります。
リコリス(甘草)は古今東西を問わず、人類の健康と食を支えてきた植物なのです。
今回は、そんなリコリスが持つ驚くべき健康・美容効果から、日常生活への取り入れ方、そして注意点までをわかりやすく解説します。

リコリス(甘草)の基本情報
リコリスはマメ科の多年草で、中央アジアから中国北部を原産とし、日本でも古くから漢方や民間療法に用いられてきました。
名前の由来は「草なのに甘い」という点にあり、その根には砂糖の数十倍ともいわれる甘味成分が含まれています。
主な甘味成分であるグリチルリチンは砂糖の約50〜80倍の甘さを持つとされ、少量でも甘味を感じられることから、天然の甘味料として重宝されてきました。
この自然な甘さから、薬の苦味を和らげる目的でも使用され、漢方処方に欠かせない存在となっています。単体で主役になるというよりも、他の素材と組み合わせて全体のバランスを整える役割を担ってきたことが、甘草の大きな特徴です。
リコリスの歴史
歴史を遡ると、古代エジプトのツタンカーメン王の墓からも甘草が発見されており、アレクサンドロス大王の軍隊が喉の渇きを和らげるために携行していたとも伝えられています。
また、中国最古の薬物書『神農本草経』では、他の生薬の作用を調和させる存在として「国老(こくろう:国の重鎮)」と称され、最高位に位置づけられてきました。こうした歴史からも、甘草がいかに重要な植物であったかがうかがえます。

リコリスに含まれる主な成分
リコリスの代表的な成分として知られているのがグリチルリチン酸です。この成分が、リコリス特有のやさしい甘さのもとになっています。
そのほかにも、フラボノイド類やリクイリチンといった植物由来成分が含まれており、これらが複合的に作用することで、さまざまな働きが期待されてきました。
こうした成分は、体や肌のコンディションを健やかに保つサポートをすると考えられており、食品や化粧品など幅広い分野で活用されています。
リコリスに期待される健康面での働き
リコリスの効果は、単なる「甘味料」の枠を大きく超えています。主要成分であるグリチルリチンやフラボノイド類が、体の内側からバランスを整える働きを持つとされています。
① 胃腸の粘膜を保護し、消化を助ける
甘草は、古くから胃腸の調子を整える目的で用いられてきました。胃粘膜を保護し、健やかな状態を保つ働きが期待されており、食生活の乱れやストレスが気になるときに選ばれることがあります。
また、胃腸の緊張を和らげる作用があるとされ、違和感の軽減を目的に使われることもあります。
② 喉の痛みや咳を鎮める
乾燥しやすい季節や、声を酷使した後などに、甘草は喉のケア素材として活用されてきました。喉を潤し、違和感を和らげるサポートが期待されることから、のど飴やハーブティーにもよく使われています。
③ 抗ストレスと抗アレルギー
リコリスに含まれる成分は、私たちの体内で分泌される「副腎皮質ホルモン」の働きを助けます。これにより、ストレスに対する抵抗力を高めたり、アレルギー反応を抑制したりする効果が期待できます。現代社会のストレスケアにおいて、注目されているポイントです。
④ 肌を健やかに保つサポート
リコリスは、スキンケア分野でも高く評価されています。甘草由来のフラボノイド成分(グラブリジンなど)は、肌をすこやかに保つ目的で化粧品に配合されることが多く、美白製品にも使用されています。

ティーからサプリメントなど日常への取り入れ方
リコリスの効果を生活に取り入れるには、いくつか手軽な方法があります。
・リコリスティー(ハーブティー)
根を乾燥させたお茶は、砂糖を入れなくても驚くほど甘いです。カフェインレスなので、寝る前のリラックスタイムや、ダイエット中の甘いもの代わりにも最適です。
・漢方薬・サプリメント
喉が痛いときの「甘草湯」や、足がつったときの「芍薬甘草湯」など、特定の症状に合わせて活用できます。体調や目的に応じて選ぶことが大切です。
・のど飴
成分表示に「甘草エキス」と記載されたのど飴は、日常的な喉のケアに取り入れやすい選択肢です。
摂取量の目安と飲み合わせ
通常のハーブティーを1〜2杯飲む程度であれば問題ありませんが、複数の漢方薬を併用する場合、それぞれの薬に甘草が含まれていて「過剰摂取」になってしまうケースがあります。
自然由来であっても、過剰な摂取や長期間の大量使用は避けたほうがよいとされています。
高血圧の方や腎機能に不安がある方、持病がある方や妊娠中・服薬中の方は、医師や薬剤師に相談することをおすすめします。

リコリス(甘草)は、数千年にわたって人類の暮らしを支えてきた「自然からの恵み」ともいえる存在です。
胃腸を整え、喉を守り、肌を美しく保つその多才な力は、忙しい現代を生きる私たちにとって、大きな助けとなるでしょう。
大切なのは、その特性を理解し、適量を守って楽しむこと。まずは、ほんのり甘いリコリスティーを一杯淹れ、そのやさしい風味とともに、古くから受け継がれてきた知恵に触れてみてはいかがでしょうか。

毛髪を保湿し、ツヤをもたらします。
recommended posts
-

vol.154 裸足で自然に触れてデトックス!心も身体も健康にする「アーシング」
2021.10.22
-

vol.069 色で感情が動く!?色が人の行動と心理に与える影響とは①
2021.02.12
-

vol.528 奇跡の果実「サジー」。美容と健康を支えるスーパーフード・サジーの知られざる力
2025.06.06
-

vol.444 髪の乾かし方は合ってる?美髪を保つ正しい髪の乾かし方
2024.07.30
-

vol.176 冬至にまつわる風習をご紹介。暮らしに活かす二十四節気「冬至」の過ごし方
2021.12.21
-

vol.347 夏の前に知っておきたい!日焼けをしやすい人と日焼けをしにくい人の違いは何!?
2023.06.28
-

vol.015 オーガニックを扱う美容院を探してみよう
2020.04.14
-

vol.218 私たちの体をつくる食事法。その中でもローフードとマクロビオティックの違いとは?
2022.05.07
-

vol.070 デトックスの臓器「肝臓」を労わる春のお勧め薬膳食材
2021.02.16
-
vol.154 裸足で自然に触れてデトックス!心も身体も健康にす・・・
column | 2021.10.22
-
vol.069 色で感情が動く!?色が人の行動と心理に与える影・・・
column | 2021.02.12
-
vol.528 奇跡の果実「サジー」。美容と健康を支えるスーパー・・・
column | 2025.06.06
-
vol.444 髪の乾かし方は合ってる?美髪を保つ正しい髪の乾か・・・
column | 2024.07.30
-
vol.176 冬至にまつわる風習をご紹介。暮らしに活かす二十・・・
column | 2021.12.21
-
vol.347 夏の前に知っておきたい!日焼けをしやすい人と日焼・・・
column | 2023.06.28
-
column | 2020.04.14
-
vol.218 私たちの体をつくる食事法。その中でもローフードと・・・
column | 2022.05.07
-
vol.070 デトックスの臓器「肝臓」を労わる春のお勧め薬膳食・・・
column | 2021.02.16









