vol.541 ストリートチルドレンに対する取り組みは。
子どもたちの未来へ私たち一人ひとりができること

column

22hour ago

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前回は、日本と世界のストリートチルドレンの現状と、彼らが直面する生存、社会からの孤立、そして心の傷という深刻な課題を見てきました。路上で生きる子どもたちの瞳に映る現実は、私たちが普段目にしている風景とはかけ離れた、厳しいものです。

しかし、この目を背けたくなるような現実は、決して変えられないものではありません。今回は、ストリートチルドレンを取り巻く現状を少しでも改善するために、国内外で行われている取り組みをご紹介します。そして、この複雑な課題の解決に向けて、私たち一人ひとりが何を考え、どのような行動を起こせるのかを、共に探っていきたいと思います。未来への希望を灯すために、今、私たちができることを考えましょう。

ストリートチルドレンとは。世界と日本の現状

「ストリートチルドレン」とは住む家を持たず路上などを生活の拠点とする18歳未満の子どもたちと定義されています。
世界全体で1億~1.5億人と推定されており、アメリカ、ナイジェリア、バングラデシュ、フィリピン、インドなど様々な国に存在しています。

特にフィリピンでは、深刻な貧困と社会格差を背景に、より多くの子どもたちが過酷な路上生活を強いられています。劣悪な衛生環境、栄養失調、暴力・搾取・児童労働のリスク、教育機会の喪失などが深刻な課題です。

一方、日本においては、経済的な豊かさの陰で、家庭内不和、虐待・ネグレクト、貧困などを背景に、都市部で「家出少年少女」と呼ばれる子どもたちが不安定な生活を送っています。安全な居場所の欠如、暴力や犯罪被害、健康問題、教育機会の喪失などが主な課題です。

フィリピンと日本では状況に違いがあるものの、子どもたちが安全な環境で成長する権利が脅かされているのが、共通している現状です。 そして、彼らが直面する課題として、生存に関わる過酷な環境と健康リスク、社会からの孤立と教育機会の喪失、心理的な傷と精神的な不安定さがあります。

将来への影響

教育を受けられないことで安定した仕事に就けず、結果的に成人後も貧困から抜け出せない「貧困の連鎖」が起こります。また、精神的なトラウマや社会不信を抱えたまま大人になることで、社会との接点を築くことが難しくなり、孤立して生きざるを得ない状況に追い込まれるのです。
さらに、こうした子どもたちが大人になっても十分な支援が受けられなければ、自身の子どももまた不安定な環境で育つことになります。つまり、ストリートチルドレンの問題は「個人の不幸」ではなく、「社会全体の未来」に関わる課題なのです。

フィリピンの取り組み例

フィリピンでは、国内外の様々な組織が連携し、ストリートチルドレンへの支援活動を展開しています。

政府の取り組み

社会福祉開発省(DSWD)が中心となり、シェルターの運営、職業訓練、教育支援などのプログラムを実施しています。また、児童権利保護法に基づき、子どもの権利擁護のための取り組みも進められています。

国際機関の活動

ユニセフ(unicef )をはじめとする国際機関は、資金援助、技術支援、政策提言などを通じて、フィリピン政府やNGOの活動を支援しています。児童労働の撤廃や、教育機会の提供、健康改善など、多岐にわたるプログラムが実施されています。

NGO・NPOの活動

国内外の多くのNGOやNPOが、路上でのアウトリーチ、食事や医療の提供、教育支援、 家族との再統合支援など、最前線で活動しています 。
代表的な例としては、 「カイサカラン・サンパグイタ財団」などのNGOは、ストリートチルドレンに食事、仮宿、カウンセリングを提供し、家族の再統合を目指す活動を行っています。 地域に根差した活動を通じて、子どもたちの自立を支援する取り組みも重要です。

しかし、予算や人員の不足、路上で生きることが「当たり前」になっている文化的要素もあり、問題解決は一筋縄ではいきません。

日本における支援の現状と取り組み

日本では、ストリートチルドレンとして明確に定義された統計は少ないものの、困難な家庭環境や経済的な理由で居場所を失った子どもたちへの支援は、様々な形で行われています。

行政の取り組み

児童相談所を中心とした相談体制が整備され、一時保護や児童養護施設などの受け皿があります。また、生活困窮家庭の子どもへの学習支援や、ひとり親家庭への経済的支援なども行われています。近年では、アウトリーチ活動を通じて、潜在的に支援を必要とする子どもたちへのアプローチも試みられています。

NPO・NGOの活動

民間の支援団体は、シェルターの運営、食事や衣類の提供、学習支援などきめ細やかな支援を提供しています。
例えば、「認定NPO法人こどもの里」や「自立援助ホーム」などの団体が、家庭に戻れない若者に対して衣食住や就労支援を提供し、自立をサポートしています。
また、最近では若者支援NPOや自治体が連携したネットカフェ難民支援事業も行われ、福祉の枠組みに入りにくい若者へのアウトリーチが進んでいます。

地域社会の取り組み

子ども食堂やプレーパークなど、地域に根差した居場所づくりを通じて、子どもたちの孤立を防ぎ、地域との繋がりを育む活動が広がっています。ボランティアによる学習支援や、生活支援なども、地域社会の温かい支えとなっています。

ただし、日本ではこうした若者が「見えにくい存在」であるため、そもそも支援の網にかからないケースも多く、情報発信や早期発見の仕組みづくりが課題です。

両国に共通しているのは、「家族だけでは支えきれない子どもたちを、社会全体で支える仕組み」が必要だということです。そのためには、行政、民間、地域が一体となり、子どもに寄り添った長期的支援を行う体制づくりが不可欠です。
また、単なる保護ではなく、「教育」「心のケア」「就労」までを見据えた支援がなければ、真の意味で路上から抜け出すことはできません。個別支援と同時に、貧困や家庭崩壊といった背景の根本に向き合う社会全体の取り組みが求められています。

私たちにできること

ストリートチルドレンの問題は、複雑で根の深い社会課題です。しかし、だからといって「自分には関係ない」と無関心でいることは、見えない加担にもつながります。この問題に立ち向かうためには、個人として、社会として、そして国際社会としての連携と行動が不可欠です。

1. 社会的関心を高める

まず私たちができる最初の一歩は、「この問題を知ること」「伝えること」です。ストリートチルドレンの現状や背景を正しく理解し、周囲と共有することは、無関心を乗り越えるための土台になります。学校教育やメディアでの取り上げも増やし、問題を“見える化”していくことが重要です

2. 支援団体への寄付やボランティア参加

国内外には、ストリートチルドレンを支援する多くのNGOやNPOが存在します。金銭的な寄付はもちろん、現地活動の手伝いや、物資の支援、広報協力など、関わり方は多様です。

3. 企業や自治体の連携強化

行政だけでなく、企業や地域社会も子ども支援に積極的に関わるべきです。企業によるCSR活動(社会貢献事業)での支援、空き家を活用した居場所づくり、地域ボランティアとの協働など、民間の力を生かす仕組みづくりが求められます。

4. 国際協力の強化

ストリートチルドレンの多くは、貧困や紛争といったグローバルな問題の影響を受けています。国際機関(unicef、セーブ・ザ・チルドレンなど)や各国政府との連携を強化し、教育、保健、福祉など包括的な支援体制を整えることが重要です。
また、日本のような支援国は、資金面だけでなく、制度整備のノウハウや人材育成の面でも積極的に協力する責任があります。

ストリートチルドレンの過酷な現状、そして彼らが直面する生存、孤立、心の傷という深刻な課題を見てきました。経済的な豊かさの陰で見過ごされがちな日本の子どもたち、そして貧困という厳しい現実の中で生き抜くフィリピンの子どもたち。彼らが置かれた状況は異なるものの、未来への希望を奪われ、社会から取り残されているという現実は共通しています。
この問題を解決するために、私たち一人ひとりが無関心でいることはできません。私たち大人が今、行動を起こすことが、子どもたちの見えない鎖を断ち切り、希望に満ちた明日へと繋がる道となるでしょう。遠い国の出来事ではなく、私たちの社会の一員である子どもたちのために、共に考え、行動しませんか。

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