
乳がん予防の「ピンクリボン運動」は皆様、聞いたことがある方も多くいることでしょう。
では、「オレンジリボン運動」のことはご存知でしょうか?
「オレンジリボン運動」は、子ども虐待防止のシンボルマークで、子ども虐待をなくすことを呼びかける市民運動です。
これからの未来を担う子どもたちですが、その子育てや教育において、いろいろな社会課題があります。
そのうちの1つがこの虐待についてです。虐待から子どもを守るために生まれたこの運動のことをまだまだ知らない方もいると思いますので、今回はこのオレンジリボン運動についてまとめてみましょう。

オレンジリボン運動の背景
オレンジリボン運動は、「子ども虐待のない社会」を目指す市民運動です。2004年に日本で始まり、子どもたちの安全と権利を守るために、広く社会に認知されることを目指しています。
オレンジリボン運動の起源は、2004年に栃木県小山市で起きた痛ましい事件に遡ります。3歳と4歳の兄弟が父親の友人から度重なる暴行を受け、最終的に川に投げ込まれて命を落とすという悲惨な出来事でした。この事件を契機に、2005年、地元の団体「カンガルーOYAMA」が子ども虐待防止を目指してオレンジリボン運動を開始しました。
その後、オレンジリボン運動は全国に広がり、毎年11月の「児童虐待防止推進月間」には多くのイベントやキャンペーンが行われています。これにより、子ども虐待の問題に対する意識が高まり、地域社会全体での防止活動が進展しています。

オレンジリボンのシンボルに込められた意味
オレンジリボンは、子ども虐待防止のシンボルとして 認知されています。このリボンの色であるオレンジは、里親家庭で育った子どもたちが「子どもたちの明るい未来を示す色」として選んだとされています。子どもたちの胸の中のオレンジの果実のような明るさと暖かさ、希望、未来を象徴しています 。
このシンボルは、虐待を受けた子どもたちへの支援と、虐待防止の重要性を社会に訴えるための強力なメッセージを発信しています。オレンジリボンを通じて、地域社会全体が一丸となって子どもたちを守る取り組みを推進することが期待されているのです。
オレンジリボン運動の現状と課題
オレンジリボン運動は、子ども虐待防止を目的とした市民運動として一部の人に認知されていますが、依然として多くの課題に直面しています。
課題の一つ目は、認知度の向上です。2023年の調査によると、オレンジリボン運動の目的や内容を正確に理解している人の割合は全体のわずか7.0%であり 、前回調査時の7.6%から減少しています。一方で、運動の存在を知っている人の割合は増加しており、特に若い世代での認知度が高まっています。
二つ目に、虐待防止のための具体的な取り組みが求められています。
調査結果によると、多くの人が「一人ひとりにできる具体的な取り組みについての情報発信」を期待しており、地域社会全体での協力が不可欠です。
また、虐待通告ダイヤル(189)の認知度が低く、80%以上の人がこのダイヤルを知らないという現状があります。これにより、虐待の早期発見や対応が遅れる可能性があるため、広報活動の強化が必要です。
さらに、虐待の定義や認識に関する課題もあります。調査では、虐待に該当するかを問う設問で、オレンジリボンの認知者群はすべての項目で「虐待に該当する」と回答した人が増加しましたが、非認知者群では一部の項目でしか増加が見られませんでした。このことから、虐待の認識を広めるための教育や啓発活動が重要であることがわかります。
最後に、支援体制の強化が求められています。調査結果によると、多くの人が「困難を抱える親子が安心して相談できる環境整備」を求めており、地域社会や公的機関が連携して支援体制を整えることが必要です。また、虐待を受けた子どもたちへの支援だけでなく、虐待を行った親への支援も重要です。親が適切な子育てを学び、再発を防ぐためのプログラムやカウンセリングの提供が求められています。
これらの課題に対処するためには、オレンジリボン運動の認知度をさらに高め、具体的な取り組みを推進し、地域社会全体での協力を強化することが不可欠です。子どもたちの安全と権利を守るために、私たち一人ひとりができることを考え、行動することが求められています。
実際の取り組み事例
オレンジリボン運動は全国的に展開されており、多くの都道府県が積極的に取り組んでいます。以下に具体的な例を挙げます。
奈良県
奈良市では、毎年11月の「オレンジリボン・児童虐待防止推進キャンペーン」期間中に、職員がオレンジリボンを着用し、運動の普及に努めています。
大阪府
大阪府三島地域の子育て支援団体がつながり、安心して楽しく子育てができるよう、2022年より毎年「オレンジリボンフェスタ」というイベントを開催しています。
千葉県
千葉市では、こども家庭庁が11月1日から実施する「オレンジリボン・児童虐待防止推進キャンペーン」に合わせて、2020年より啓発活動を実施しています。
例えば、モノレールの「セントラルアーチ」をオレンジ色のライトアップで彩ったり、オレンジ色のベストを着た「オレンジバイク」が県内を走行し、市民へ関心が広がるようアプローチしています。
全国各地の学生が啓蒙活動を実施
企業や団体だけでなく、北海道や東京、神奈川、愛知、兵庫など全国の大学の社会福祉学部の学生や専門学生、高等看護学院の学生たちが啓発活動を行っています。
これらの活動は主に学生が中心となって行われており、講演会の開催、街頭でのチラシ配布、SNSを通じた情報発信など、様々な形で児童虐待防止の啓発に取り組んでいます。

今を生きる子どもたちを守ることは、未来の日本や世界を守ることにつながります。
自分には関係ない、ではなく、私たち大人も全員子どもの時代がありました。
この子ども虐待の防止は、相談所や地方自治体だけが行うことではなく、私たち一人ひとりが子どもたちや子育てのことを考え、やさしい社会を作ることから始まります。
そういった団体を応援することや意思表示することなど、まずは自分ができることから行っていきましょう。

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