vol.120 社会課題のフードロスと飢餓削減へ向けて。世界の取り組みを知ろう

column

2021.07.13

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人が生きる上で必要不可欠な食事。
そして、その食事からもたらされる社会課題の一つ、フードロス。

フードロスは日本の問題だけでなく、世界中でも問題として考えられている現在。
様々な取り組みが世界中でスタートしています。
フードロスにまつわる第二回目の今回は、世界の取り組みを知っていきましょう。

【前回の記事はこちら】
世界の問題の1つフードロス。その歴史と世界の飢餓の現状

飢餓ゼロに向けた取り組みへ

世界では飢餓ゼロに向けて様々な活動が行われています。

①国連世界食糧計画(WFP)の取り組み:食糧支援の他に、学校給食支援、母子栄養支援
②ヨーロッパ諸国による農業支援:様々な支援団体によるアフリカへの農業経営教育や農業市場の導入、労働条件の向上等
③先進国によるフードロス対策:フードロスを禁じる法律の公布により、賞味期限切れとなった食品の慈善団体寄付、違反金の途上国寄付等

このような取り組みが少しずつ進み始め、また、あらゆる先進国では独自のフードロスゼロ対策への取り組みが奨励されています。

各国のフードロスに対する取り組み

ここではフードロスに対する取り組みとして代表的な国を紹介していきます。

・アメリカ:ドギーバッグ活動
ドギーバッグとは料理を持ち帰る為の容器のことを表す言葉。
外食での食べ残しを持ち帰ることを奨励する活動です。

・イタリア:スーパーマーケットやレストランによる賞味期限切れ、また賞味期限が近づいているもの、見た目が悪いと言う理由で廃棄されてしまう食材を、レストランシェフ達が調理をし、ホームレスや地元の人々などに絶品イタリアンを振る舞うプロジェクトが2015年から始まっています。
このプロジェクトは、フードロスと貧困問題を同時に解決するための取り組みで「レフェットリオ」と呼ばれ、それを知った世界中のシェフが賛同し、ボランティアで廃棄食材を使用し、絶品料理をホームレスや貧困家庭に振る舞うようになり、また、若手シェフへの食材ひとつひとつの大切さ の教育と共に真の一流シェフへの育成も行っているのです。

・フランス:2016年から「食品廃棄禁止法」が施行され、400平方メートル以上の大型スーパーが売れ残りや賞味期限切れの食品を廃棄することを原則禁止、廃棄する場合には罰金が課されるようになりました。
また、フランスとベルギーの共同研究により、各家庭で購入したパッケージ食材がパッケージをオープンしなくても腐敗しているか確認ができるシリコンセンサー装置が開発されようとしています。

・スペイン:一般家庭や飲食店から出る余剰食品を貧困者へシェアする「連帯冷蔵庫」を各地域に設置しています。

・デンマーク:売れ残った料理のあるレストランを検索し、格安で販売するフードシェアリングアプリ「Too Good to Go」が開発され、活用されています。

・イギリス:イギリスの大手ベーカリーチェーンでは、売れ残りのパンを再利用し、クルトンにして販売。また、細かく分解し、新たなパンを製造する際にパン生地に練り込んだ「Waste bread(ウェイストブレッド)」として販売されています。名前もそのまま廃棄パン、しかしながらサスティナブルの一環として考えられており、販売のみならず、イギリスの慈善団体への商品寄付も行われています。

・オーストリア:スーパーマーケットのゴミ箱に入り、まだ食べられる食材や賞味期限切れのもの を探し、とっておきの料理に蘇らせるというフードロス問題への取り組みが1人のジャーナリストによって始まりました。
彼のような行動は「フリーガン」や「ゴミ箱ダイバー」と呼ばれ、決して貧しくてゴミ箱の中に入るのではなく、真剣にフードロス問題や食糧だけでなくまだ使えるものを使おうとする活動です。

今回ご紹介した以外の国でもフードロスに向けた活動が進んでいます。
そのような中、日本のフードロスの対策とは…?
対策の前に、もう一度日本のフードロスの現状を知りましょう。

日本のフードロスの現状

前回述べたように、日本のフードロスは年間646万トン。
これは毎日10トンの大型トラックが1770台分相当。
1人当たり年間51kgの食品廃棄に値します。

日本のフードロスは主に家庭から出るものが多く、なんと289万トンもの食品廃棄がなされています。
その他外食産業で132万トン、食品卸売業で18万トン、食品小売業で67万トン、食品製造業で140万トン。

この数字から見ても家庭から出るフードロスが圧倒的な数と言うことがよく分かります。
家庭の生ゴミのうち、手をつけずに廃棄される食品は10.3%、食べ残しが13.6%と言う統計も出ているのです。
また、外食産業では、宴会で14.2%、披露宴で12.2%、レストランで3.6%の食べ残しが圧倒的となっています。

他にもスーパーマーケットでは、消費者の要求が最優先され、新しい食品が綺麗に配列され、色が綺麗でまっすぐに成長したキュウリやニンジン、形が揃ったトマト等、見た目が非常に重要視され、いびつな形をしたものは規格外のものと判断され、廃棄への道へ進んでしまうのです。

さらに、手軽に買え、彩りも鮮やか、味も美味しいお弁当には、消費期限の日付だけではなく、時刻まで記載されていることにお気づきでしょうか?
この時間の記載をする国は世界ではなかなか見られず、日本独自の消費者を第一優先に考えた日本人ならではの親切心が表に出ていますが、その裏では時間が来たら商品にならず、大量に廃棄処分されてしまうと言うのが現状なのです。

フードロスの世界の取り組みと日本の現状をみてきましたが、
フードロスは飢餓だけでなく、他の問題とも結びつきがあります。
例えば、食品廃棄を処理するために、年間約2兆円と言う莫大な経費がかかっており、その経費を払っているのは私たちです。
更に食品を焼却処理する際に多くのCO2が排出されるために、温室効果ガスへの助長、そして地球温暖化が進行、全世界への環境問題へと繋がってしまうのです。

では、日本では実際に、どういう取り組みがされているのでしょうか。
また、私たちが日々できることはどういったことなのか。
次回考えていきましょう。

【次回の記事はこちら】
日本のフードロスへの取り組みと、今日、私たちにできること

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