
年末年始は、クリスマスを皮切りに、年越しそば、おせち料理、お雑煮、お汁粉…と、ごちそうが続きやすい季節です。さらに忘年会や新年会がプラスされることも多いはず。
今年は、オンライン忘年会、オンライン新年会を楽しまれる方も。
ごちそうは嬉しい反面、あまり続くと体重や胃腸が心配ですよね。そんな私たちにピッタリなのが「七草がゆ」。暴飲暴食に疲れた体をリセットし、新年の仕事始めをすがすがしく迎えるのにふさわしい料理です。
七草がゆの魅力やパワーについてご紹介します。

七草がゆとは?
七草(ななくさ)がゆとは、1月7日に食べる日本の伝統的な料理です。春の七草を具にした塩味のお粥(かゆ)にするのが一般的。新しい年に病気をせず、健やかに暮らすことができるよう、願いを込めて食べます。
春の七草と言っても旧暦の春ですので、1~3月を指します。この時期に取れる七種類の野菜を七草と呼んだのですね。
七草がゆを作るため、昔は前日の夜までに新鮮な七草を用意し、歌を歌いながら細かく刻んだのだとか。これを翌日の朝におかゆにしていました。今では特に朝にこだわらず、夜に七草がゆを食べているご家庭もあるのでは?
最近では七草もスーパーマーケットでセット販売されるようになり、便利になりましたね。七草は、地域によって異なることがあり、六草や八草になることもあります。また、塩味のおかゆではなく、甘いお汁粉や澄まし汁のことも。地域に根ざした郷土料理としての側面も持っています。
七草の意味
春の七草とは、はこべら・ごぎょう・なずな・すずな・すずしろ・せり・ほとけのざ。子どもの頃、一生懸命に唱えて覚えた方もいるのではないでしょうか。実は七草それぞれには意味があるって、知っていましたか?
地方によって細かな違いはありますが、ここでは関東地方の例をとって解説します。

・はこべら:ナデシコ科の植物で、ハコベと呼ばれることが多いです。はこべらは「繁縷」と書き、繁栄がはびこるという意味があります。タンパク質をふくみ、ミネラルなどの栄養を多くふくみます。腹痛や胃炎にきくとされ、古くから薬草として親しまれています。
・ごぎょう:キク科の植物ハハコグサのこと。ごぎょうは「御形」と書いて仏様の体を意味します。咳止め・痰切り・鼻水・鼻づまりに作用すると言われます。
・なずな
「撫でる菜」という意味。ぺんぺん草とも呼ばれる。なでて汚れを取り除く意味をこめています。解熱・利尿・止血作用があります。
・すずな:カブのこと。すずなは「鈴菜」と書き、神様を呼ぶための鈴、という意味を持ちます。とくにカブの葉のことをすず菜と呼んでいました。胃腸を整え、消化を促進します。しもやけによいと言われます。
・すずしろ:ダイコンのこと。すずしろは「清白」と書き、汚れなく清い、真っ白である、という意味です。風邪予防・美肌によいと言われます。消化促進作用があります。
・せり:競り(せり)で勝つ、競争に勝つという意味。鉄分をふくみ、体を強くします。
・ほとけのざ:キク科の植物で、名前の通り仏の座、つまり仏様の座る場所、という意味です。葉の形が仏の座(はす、れんげ)に似ていることから、ほとけのざと呼ばれるようになったと言われます。
胃腸を整え、食欲増進によいと言われます。

こうして見ると、春の七草は栄養満点!
しかし春の七草を人日の節句に集めるというのだから、かなり苦労したに違いありません。旧暦での人日の節句は、現在でいう2月半ば頃に当たるといいますので、なおさらのことです。
昔は、七草が全てそろわないことの方が多かったのではないでしょうか。だからこそ健康を願う大切な行事として、現在まで長い間続いてきたのかもしれませんね。

七草がゆの由来
七草がゆは1月7日に食べるのが一般的ですが、これは人日(じんじつ)の節句の朝と決まっていたためです。
昔の中国では、1月1日は鶏の日として、鶏を殺してはならない日と決まりがありました。同様に1月2日は犬、3日はイノシシ(ブタ)、4日は羊、5日は牛、6日は馬、7日は人を殺してはなりません。
つまり1月7日は犯罪者に対する刑罰を行わない「人日」だったのです。中国には「人日に七草スープを食べる」という習慣があり、これが日本に伝わります。
平安時代には七草がゆの習慣が始まったといわれており、枕草子にもそれをうかがわせる「若菜つみ」の記述が。江戸時代には幕府の公式行事に定められ、将軍をふくむ全ての武士が七草がゆを食べるようになりました。

七草がゆの伝説
そもそも、中国で七草スープの習慣が広まったのには、それにまつわる伝説があったからなのです。
唐の時代、ひとりの親孝行者がいました。彼の両親は100歳を超えており、すでに体がいうことを聞かない状態。彼は山にこもって修行をはじめます。
「どうか両親を若返らせてください」
その願いが通じ、天から神様のお告げがありました。
『1月6日までに7つの野菜をあつめ、定められた時間どおりに七草をたたくこと。東からくんできた清水で七草を煮て食べること。すると一口で10歳、七口で70歳若返ることができるだろう。』
彼は神様の教えに従い、みごと両親を若返らせました。
この話が広まって七草スープになり、日本で七草がゆになったんですね。
私たちもつい年末年始の食べ過ぎて疲れた体に、
七草がゆのパワーにあやかり、元気な一年のスタートをきりましょう!
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