vol.560 季節の変わり目を健やかに過ごす。
夏の疲れを癒す食事と睡眠のヒント

column

2025.09.08

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朝晩の風にふわりと秋の気配が混じり、高く澄んだ空に心が洗われるような季節になりました。日中の暑さはまだ残るものの、夜には虫の音が心地よく響き、季節の移ろいを感じずにはいられません。
この美しい季節の訪れとは裏腹に、「なんとなく体がだるい」「朝すっきりと起きられない」「夏の疲れが今になって出てきた…」と感じてはいませんか?
それらは体からの大切なサインかもしれません。季節の変わり目は、心と体にとって大きな転換期。ひと夏を乗り切った私たちの体には、気づかぬうちに溜め込んだ「夏の忘れ物」が残っているのです。冷房による体の冷え、冷たい飲食物で酷使した胃腸、そして強い紫外線によるダメージ。これらが、季節の変わり目に「秋バテ」として姿を現します。
本格的な秋、そして厳しい冬を元気に乗り切るために、今こそ、夏の間に溜まった疲れをリセットし、心と体を優しく整える「養生」を始めてみませんか。このコラムでは、今日からすぐに始められる「養生ごはん」と、心をゆるめる「セルフケア」をご紹介します。

なぜ今、「養生」が必要なのか? 夏のダメージが秋バテを招く

夏の生活を少し振り返ってみましょう。キンキンに冷えた部屋で過ごし、喉が渇けば氷の入った飲み物を一気に飲む。食事はそうめんや冷やし中華など、冷たくて喉越しの良いものばかり。暑いからと、入浴はシャワーで手早く済ませてしまう…。心当たりのある方も多いのではないでしょうか。

こうした夏の習慣は、私たちが思う以上に体に負担をかけています。特に深刻なのが「内臓の冷え(内冷え)」です。体の表面は暑さを感じていても、体の中、特に胃腸は冷え切ってしまっている状態。これにより血行が悪くなり、全身に栄養が届きにくくなるだけでなく、免疫力の低下にも繋がります。

また、冷たいものの過剰摂取は、胃腸の消化機能を直接的に低下させます。疲れ切った胃腸では、食べ物から十分にエネルギーを作り出すことができず、食欲不振や慢性的なだるさを引き起こします。これが「秋バテ」の大きな原因の一つです。

さらに、屋外の猛暑と冷房の効いた室内の激しい温度差は、体温を調節する自律神経を疲弊させます。自律神経のバランスが乱れると、だるさや不眠、気分の落ち込みといった、心身両面の不調が現れやすくなるのです。

東洋医学では、水分の摂りすぎによって体内に余分な水分が溜まった状態を「湿邪(しつじゃ)」と呼びます。これもまた、むくみや体の重だるさの原因となります。

夏の間に蓄積されたこれらのダメージが、秋という季節の変わり目に一気に表面化するのです。このサインを見過ごしてしまうと、冬に風邪をひきやすくなったり、不調が長引いたりすることも。だからこそ、体が本格的な休息モードに入る「今」こそ、夏の忘れ物をきれいに清算し、体をリセットする絶好のタイミングなのです。

旬の恵みで、内側から温め、巡らせる秋の養生ごはん

秋の養生の基本は、食事にあります。難しく考える必要はありません。3つのポイントを意識するだけで、体は内側からゆっくりと整っていきます。

「温める」:冷えた内臓を優しく温め、全身の血行を促す。
「補う」:夏の消耗で失われた気力や体力を、滋養のある食材で補給する。
「排出する(デトックス)」:体内に溜まった老廃物や余分な水分を排出し、腸内環境を整える。

この3つを叶えてくれるのが、まさに「秋の旬の食材」です。

秋の養生におすすめの食材

きのこ類(舞茸、しめじ、椎茸など)

食物繊維が豊富で、腸のお掃除をしてくれる「腸活」のエース。腸内環境が整うと、免疫細胞も活性化すると言われています。様々な種類を組み合わせることで、豊かな風味と滋味深い味わいが楽しめます。

根菜類(ごぼう、れんこん、人参 など)

大地のエネルギーをたっぷりと蓄えた根菜は、体を内側から温めてくれる代表的な食材。力強いエネルギーを補給し、豊富な食物繊維がデトックスを助けてくれます。

発酵食品(味噌、醤油麹、甘酒など)

日本の伝統的な知恵の結晶。腸内の善玉菌を増やし、消化吸収を助けてくれます。特に温かい味噌汁は、体を温めながら腸活もできる、最高の養生スープです。

睡眠の質が「回復力」のカギを握る

養生の基本のひとつに「よく眠る」ことがあります。睡眠中は、体の修復やホルモンバランスの調整が行われる大切な時間。特に夏の寝苦しさで睡眠の質が落ちていた方は、秋の夜長を利用して、ゆったりと眠る習慣を意識してみましょう。
そして、ただ長く寝るのではなく、眠りの「質」にもこだわって みましょう。
スマホやパソコンのブルーライトは睡眠の質を低下させるため、就寝の1時間前には画面から離れ、アナログな過ごし方(読書やストレッチ、日記をつけるなど)を取り入れるのもおすすめです。
また、寝る前に布団の上で、凝り固まった肩甲骨周りや股関節をゆっくりと伸ばすだけで、血行が良くなり、心地よい眠りに入りやすくなります。

自分をいたわる時間が、次の季節の元気をつくる

夏の終わりに行う「養生」とは、決して特別なことではありません。旬のものを美味しくいただくこと、心地よく眠ること。日々の暮らしの中にある、ささやかで心地よい選択の積み重ねです。
忙しい毎日の中で、意識して「自分をいたわる時間」を持つこと。 その慈しみの時間が、夏の間に溜まった心と体の疲れを洗い流し、滋養となってあなたを満たしてくれます。
実りの秋、旬の恵みを体いっぱいに取り込んで、心も体も豊かに整えていきましょう。そうして整えた健やかな心身は、きっと輝く秋、そして厳しい冬を乗り越えるための、確かな土台となってくれることでしょう。

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